Android端末の画面をパソコンに表示し、マウスやキーボードで操作できる無料ツール「scrcpy」が、バージョン5.0に更新されました。
今回の主な変更点は、映像のハードウェアデコードへの対応と、Windows ARM64版の公式提供です。
どちらも、端末画面を長時間ミラーリングしたり、ノートパソコンで外出先から操作したりする際の負荷や消費電力を抑える効果が期待できます。
scrcpy 5.0の目玉はハードウェアデコード
scrcpyは、USBまたはWi-Fiで接続したAndroid端末の画面をパソコンに映し、端末を遠隔操作するためのコマンドラインツールです。
画面表示だけでなく、録画や配信、音声の取得にも利用できます。
Windows、macOS、Linuxに対応し、オープンソースライセンスのApache License 2.0で公開されています。
公式プロジェクトページはGitHubのscrcpyリポジトリです。
CPUでの処理を減らし、負荷を軽減
Android端末から送られる映像は、パソコン側でデコードして画面に表示します。
従来のソフトウェアデコードでは主にCPUが処理を担いますが、ハードウェアデコードでは対応するGPUや専用回路に処理を分担できます。
開発元によると、ハードウェアデコードを利用した場合、CPU使用率は従来の約10分の1になるとされています。
CPUの負荷が下がれば、ほかのアプリケーションを同時に使いやすくなり、発熱や消費電力の抑制も期待できます。
特に、バッテリー駆動のノートパソコンで長時間使う場合や、高解像度の映像を扱う場合にメリットが見込めます。
ただし、実際の効果はパソコンのGPU、ドライバー、映像形式、解像度などによって異なります。
設定は自動、必要に応じて方式を指定
ハードウェアデコードは標準で有効になっており、対応するデコーダーが利用できない場合や映像を処理できない場合には、ソフトウェアデコードへ自動で切り替わります。
通常は追加設定なしで試せますが、動作に問題がある場合は、起動時に指定する--hwdecオプションで方式を選べます。
| オプション | 内容 |
|---|---|
--hwdec=auto | 利用可能な場合にハードウェアデコードを使用する標準設定 |
--hwdec=disabled | ソフトウェアデコードを使用する |
--hwdec=d3d11va | WindowsでD3D11VAを使用する |
--hwdec=videotoolbox | macOSでVideoToolboxを使用する |
--hwdec=vaapi | LinuxでVA-APIを使用する |
LinuxでVA-APIを利用するには、対応するGPUドライバーが必要です。
DebianやUbuntuでは、環境に応じてva-driver-allなどのドライバーパッケージを導入します。
Windows ARM64版を公式に提供
scrcpy 5.0では、Windows向けにARM64ビルドが用意されました。
これにより、Qualcomm製チップなどを搭載したWindows ARMパソコンで、x86版をエミュレーション実行する代わりに、ARM64向けのビルドを選べます。
ネイティブ動作によって安定性の向上や消費電力の低減が期待できるため、ARM搭載ノートパソコンの利用者にとって実用的な改善です。
ダウンロード時には、利用しているWindowsのアーキテクチャに合ったビルドを選ぶ必要があります。
音声取得やキーボード関連も改善
今回の更新では、映像バッファーの扱いも見直されました。
音声の再生キャプチャーモードでは、これまで取得できない場合があったゲーム音声や音声通話なども対象になっています。
また、一部のキーボード配列でキー入力が取りこぼされる問題や、AltGrキーが転送されない問題も修正されました。
同梱ツールも更新され、Android端末との通信に使うADBはv37.0.1、FFmpegはv9.0.2、SDLはv3.4.18、dav1dはv1.5.4になっています。
まとめ
scrcpy 5.0は、ハードウェアデコードによるCPU負荷の大幅な低減と、Windows ARM64版の提供が大きな見どころです。
標準設定でハードウェアデコードが有効になるため、多くの環境では導入後すぐに効果を試せます。
映像の表示や音声取得、キーボード操作にも改善が加わっており、すでにscrcpyを使っている人にも更新を検討する価値のあるバージョンです。
