デスクトップにメモを貼り付けておける老舗ソフト「付箋紙21」シリーズに、約6年ぶりとなる新作「付箋紙21×64」Ver1.00が登場しました。
64bit環境に対応した本作は、従来版の機能を引き継ぎながら、開発環境やWindowsの利用環境の変化に合わせて再構成されたものです。
「付箋紙21×64」が公開、シリーズ初の64bit版に
「付箋紙21×64」は9月27日に公開され、作者のWebサイト「付箋紙対策協議会」から無償でダウンロードできます。
「付箋紙21SE」と「付箋紙21FE」をベースに64bitへ移植したバージョンで、機能は「付箋紙21FE」v3.05とおおむね同等です。
付箋をデスクトップに置いて管理できるほか、LAN内の相手に付箋を送信できるネットワーク機能も備えています。
シリーズの起源は「付箋紙95」にさかのぼり、長年にわたって使われてきたソフトです。
開発再開のきっかけは「Delphi 13 Community Edition」
従来の「付箋紙21FE」は、Windows XP上の「Delphi 2005」で開発されていました。
開発環境はHyper-V上に構築されていたものの、仮想マシンでの作業が難航し、開発が止まっていたといいます。
状況を変えたのが、無償で利用できる「Delphi 13 Community Edition」です。
フリーソフトの開発に使用でき、64bitアプリも作成できることから、作者は古いコードの移植に着手しました。
ただし、Delphi 2005とDelphi 13の間には20年以上の隔たりがあり、文字列の扱いを含めて言語仕様が変化しています。
さらに、32bitから64bitへの移行も必要となるため、単純な再コンパイルでは済まず、エラーの特定や修正に手間がかかったようです。
そこで作者は、生成AIの「Claude」をエラー箇所の特定や修正方法の検討に活用しました。
作者は、現在の生成AIがObject Pascalのような比較的利用者の少ない言語での開発にも役立つとしています。
主な変更点と削除された機能
新バージョンでは64bit化に加え、表示やデータ管理、通信処理などにも手が加えられています。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 改善・修正 | 64bit化、設定画面のデザイン変更、解像度に応じたUIサイズの適用、TCP接続によるファイル送信機能の修正など |
| データ管理 | レジストリを使用しない方式に変更 |
| 削除された機能 | 不在者への付箋送信、マルチユーザー機能の選択、コンテキストメニューへの追加、カレンダー付箋など |
画面関連では、フルHD以上のディスプレイで発生していた整列機能の不具合が修正され、透明付箋の制御方法も統一されました。
一方、利用頻度が低いと判断された機能やオプションは整理されており、従来版と完全に同じ使い勝手ではありません。
ポータブル版として提供、旧版データも読み込み可能
レジストリを使用しない設計に変更されたため、インストーラー付きのパッケージは提供されず、ZIP形式のポータブル版のみとなります。
ZIPファイルを任意の場所に展開して実行する方式なので、インストール作業をせずに利用を始められます。
「付箋紙21FE」のデータを読み込めますが、初回起動時には新規利用として扱われ、データフォルダーの既定位置はドキュメント内の「HUSENDATA」になります。
旧版から移行する場合は、保存先を確認してから起動し、必要に応じてデータの場所を調整するとよいでしょう。
なお、本作は64bit版のため、32bit版Windowsでは動作しません。
今後の更新は64bit版が中心に
作者は今後の修正や機能拡張を「付箋紙21×64」ベースで進める方針です。
従来の「付箋紙21FE」はアップデートされない予定ですが、削除された機能があることや32bit環境で動作しないことを踏まえ、提供は継続されます。
まとめ
「付箋紙21×64」は、長い歴史を持つデスクトップ付箋ソフトを現代の64bit環境へ引き継ぐための新バージョンです。
Delphi 13 Community Editionによる開発環境の刷新に加え、Claudeをデバッグ支援に活用した点も、古いソフトウェアを維持する新しい手法として注目されます。
従来版から機能の一部が削除されているため、必要な機能や動作環境を確認したうえで、ポータブル版への移行を検討してください。
