Emurasoftは、Windows向けテキストエディター「EmEditor Professional」のバージョン26.3を公開しました。
今回の目玉は、搭載メモリを大きく上回るファイルを省メモリで扱える「高速ビュー」と、AIチャットの活用範囲を広げるMCPコネクターへの対応です。
巨大なログやデータベースのダンプを調べたい一方で、ファイル全体の編集は必要ないという場面で、検索や絞り込みをより効率よく行えるようになります。
必要な部分だけ読み込む「高速ビュー」を追加
従来のEmEditorは数GB規模のファイルを開いて編集できる点が特長ですが、物理メモリを大幅に超えるファイルでは、読み込みに時間がかかったり、PCの動作が遅くなったりすることがありました。
v26.3の高速ビューでは、ファイル全体をメモリへ読み込まず、表示に必要な行をバックグラウンドで調べて読み込みます。
ファイルは読み取り専用となり編集できませんが、表示、検索、フィルターなどの分析処理を省メモリで実行できます。
ログの特定時刻の記録を探したり、条件に合う行だけを抽出したりする用途では、ファイル全体を書き換えられることよりも、必要な情報へ素早くたどり着けることが重要です。
高速ビューは、こうした閲覧・分析中心の作業に向けたモードといえます。
検索やフィルターなど、分析に便利な機能を利用可能
高速ビューでも、正規表現検索やあいまい検索、文書比較、AI機能などを利用できます。
Pro版では、CSVモード、フィルター・抽出、マクロ、プラグインも利用可能です。
編集を伴わない調査であれば、通常モードと同様に必要な機能を組み合わせて使えます。
高速ビューを有効にするファイルサイズの初期設定は4,096MBで、設定値を超えるファイルは自動的にこのモードで開き、ユーザーに通知されます。
通常モードとの切り替えは、[編集]メニューの[高速ビュー]から行えます。
48.4GBのファイルを使った性能比較
同社のテストでは、48.4GB、10億行のUTF-8ファイルを用い、Windows 11搭載PCの利用可能な物理メモリを16GBに制限して測定しています。
v26.2と比べた結果は次の通りで、特にフィルターや抽出で大きな時間短縮が示されました。
| 処理 | v26.2 | v26.3 | 高速化 |
|---|---|---|---|
| ファイルを開く | 30.2秒 | 6.61秒 | 約4.57倍 |
| 「abcde」を検索 | 37.0秒 | 7.64秒 | 約4.84倍 |
| 「abcde」でフィルター | 69.6秒 | 7.53秒 | 約9.24倍 |
| 検索ダイアログで「abcde」を抽出 | 103秒 | 9.70秒 | 約10.6倍 |
| 正規表現「[a-c]{5}」を検索 | 198秒 | 124秒 | 約1.60倍 |
これらは特定のファイルと環境で行われた同社の測定結果であり、ファイルの内容やPCの構成によって実際の処理時間は変わります。
正規表現検索のように処理内容によって高速化の幅が異なる点も、導入時に押さえておきたいところです。
AIチャットがMCPコネクターに対応
v26.3では、AIツールと外部サービスやデータを接続するための標準規格「MCP(Model Context Protocol)」に対応するコネクターが追加されました。
これにより、AIチャットを介してEmEditorの機能や情報を活用する連携が可能になります。
ただし、現時点でサポートされる接続方式はHTTPサーバーに限られ、STDIOおよびSSE接続には対応していません。
ヘルプページをAIの回答に活用
EmEditorの最新ヘルプページをAIが参照するための「EmEditor ヘルプ ページ」コネクターも追加されています。
製品の設定や機能の使い方について質問する際に、ヘルプの内容をもとに回答を得られるため、一般的なWeb検索よりも製品固有の情報を確認しやすくなることが期待されます。
このMCPサーバーはEmEditor内だけでなく、ChatGPTやClaudeなどの対応アプリからも利用できます。
AI機能の利用にはプラグインが必要
EmEditorのAI機能を使うには、本体に加えて「ChatAI」プラグインが必要です。
Microsoft Store版と新しいMSIXインストーラー版にはプラグインが同梱されていますが、従来のMSIインストーラーを使っている場合は別途確認が必要です。
古いインストーラーへの更新提供は2027年3月に終了する予定とされているため、該当するユーザーは新しいセットアップ方法への移行を検討するとよいでしょう。
まとめ
EmEditor v26.3では、編集を行わずに巨大ファイルを調べるための高速ビューが加わり、物理メモリを超える規模のファイルでも検索やフィルターを行いやすくなりました。
AI機能ではMCPコネクターとヘルプページ連携が導入され、操作方法をAIに尋ねる際の製品情報へのアクセスも改善されています。
巨大なログやデータの調査を効率化したい人は、高速ビューの読み取り専用という制約や、利用中のインストーラーに応じたプラグイン要件を確認したうえで、更新を検討してみてください。
