将棋AI向けの軽量評価関数「つようら王11mini」と「つようら王11micro」が、2026年10月14日に無償公開されました。
評価関数は、探索中の局面を数値化して有利不利を判定するデータです。
両モデルは小容量ながら「水匠5」を上回る棋力をうたっており、スマートフォン向けアプリなど、メモリや容量に制約がある環境での活用が期待されます。
約4.5~8.5MBの軽量評価関数
公開された評価関数は、進行度パラメーターを含めても「つようら王11mini」が約8.5MB、「つようら王11micro」が約4.5MBです。
約63MBの「水匠5」と比べると、miniは約7分の1、microは約14分の1の容量に収まります。
公開元の説明では、どちらも「水匠5」をレーティングで約150~200上回る棋力を実現しています。
一方、水匠シリーズの最新版「水匠11Plus」には約150ほど及ばないとされており、最強クラスを目指すモデルというより、容量と強さのバランスを重視した選択肢です。
| 評価関数 | サイズ | 特徴 |
|---|---|---|
| つようら王11mini | 約8.5MB | 局面の評価精度を重視 |
| つようら王11micro | 約4.5MB | 探索局面数(NPS)を重視 |
| 水匠5 | 約63MB | 比較対象となる従来モデル |
miniとmicroの違い
miniは水匠5の約5分の1、microは約10分の1のパラメーター数を持ちます。
miniはmicroより計算量を多く使う一方、局面を評価する精度が高いとされています。
microは評価精度を抑える代わりに、NPS、つまり1秒間に探索できる局面数を高めた設計です。
両者の強さはおおむね同程度ですが、指し手の傾向である棋風は異なるため、実際に対局させて好みに合う方を選ぶ方法もあります。
小型化を実現した仕組み
今回の評価関数は、「水匠11Plus」と同等の強さを持つ評価関数「つようら王11」の学習実験から生まれたものです。
従来は玉の位置と駒の組み合わせを入力特徴量に使うため、評価関数の入力層付近が大きくなりやすい構造でした。
今回の方式では実質的に駒の情報を入力に用いることで、入力層付近のパラメーター数を従来方式の81分の1に抑えたと説明されています。
こうした設計により、容量を小さくしながら実用的な棋力を保つことを目指しています。
利用方法とライセンス上の注意
評価関数を使うには、対応する構造の将棋思考エンジンが必要です。
公開ページでは、対応する「やねうら王」本体もWindows 64bit版として配布されており、評価関数を所定のフォルダーに配置して、将棋GUIにエンジンとして登録する方法が案内されています。
「ShogiHome」や「将棋所」などのGUIを使えば、対応環境で対局できます。
評価関数のMITライセンスと、やねうら王本体のGPLv3ライセンスは別々に適用されます。
評価関数はMITライセンスにより商用利用や再配布が可能ですが、エンジンを組み込んだアプリの公開・配布では、エンジン側のライセンス条件も確認する必要があります。
まとめ
「つようら王11mini/micro」は、数MB規模の容量で水匠5を上回る棋力を目指した、将棋AI向けの軽量評価関数です。
評価精度を重視するならmini、探索効率を重視するならmicroが候補となり、MITライセンスによって商用利用の幅も広がります。
ただし、利用時は対応エンジンの要件と、評価関数・エンジンそれぞれのライセンスを分けて確認することが大切です。
