Googleは2026年10月6日(現地時間)、デスクトップ版「Google Chrome 155」の安定版を公開しました。
今回の更新では247件の脆弱性が修正されたほか、画像形式JPEG XLのデコードや、WebCrypto APIでの耐量子暗号の利用などが追加されています。
更新はWindows、Mac、Linux向けに順次配信されますが、すぐに新機能を使いたい場合は、Chromeの設定画面からアップデートを確認できます。
Chrome 155で247件の脆弱性を修正
Chrome 155では、合計247件のセキュリティ問題が修正されました。
深刻度の内訳は、最も高い「Critical」が4件、「High」が53件、「Medium」が122件、「Low」が68件です。
Criticalに分類された4件はいずれも、解放済みのメモリを再び使ってしまう「Use after free(解放後使用)」に関する脆弱性です。
| 深刻度 | 修正件数 |
|---|---|
| Critical | 4件 |
| High | 53件 |
| Medium | 122件 |
| Low | 68件 |
| 合計 | 247件 |
Criticalの脆弱性は4件
対象となるのは、Chromecast、Browser、Navigation、Trackに存在する脆弱性で、識別番号はそれぞれCVE-2026-106382、CVE-2026-106197、CVE-2026-106358、CVE-2026-106347です。
CVE-2026-106382:ChromecastにおけるUse after freeCVE-2026-106197:BrowserにおけるUse after freeCVE-2026-106358:NavigationにおけるUse after freeCVE-2026-106347:TrackにおけるUse after free
Use after freeは、プログラムが解放したメモリ領域に誤ってアクセスする問題です。
状況によってはブラウザーのクラッシュだけでなく、攻撃者による任意コード実行につながる可能性もあるため、早めのアップデートが推奨されます。
公開情報では、これらの脆弱性が実際の攻撃に悪用されたとの報告は確認されていません。
また、今回の修正には「Claude」の支援を受けて報告された問題が12件、「OpenAI Codex Security」による報告が2件含まれています。
Rust製デコーダーでJPEG XLに対応
機能面での大きな変更は、画像形式「JPEG XL(image/jxl)」のデコードに対応したことです。
JPEG XLは、非可逆圧縮と可逆圧縮の両方を扱えるロイヤリティフリーの画像形式で、国際規格ISO/IEC 18181として標準化されています。
従来のJPEGと比べて、広い色域やアニメーションを扱えるほか、画質を保ちながらファイルサイズを抑えやすい点が特徴です。
Chrome 155のデコーダーは、メモリ安全性を重視したRustで実装されています。
Chromiumでは画像処理をRust製の実装に置き換える取り組みが進められており、メモリ破壊につながる脆弱性の抑制や、処理性能の向上が期待されています。
ただし、今回の対応はJPEG XL画像をChromeで読み込むためのデコード機能です。
画像の作成や編集、すべてのWebサイトでの利用を保証するものではなく、実際の表示にはサイト側の対応も関係します。
WebCryptoに耐量子暗号を追加
開発者向けの変更として、Web Crypto APIで耐量子暗号(PQC)アルゴリズムが利用できるようになりました。
対象には、鍵カプセル化方式のML-KEM、デジタル署名方式のML-DSA、複数の方式を組み合わせるX-Wingが含まれます。
耐量子暗号は、将来、量子コンピューターの能力が向上した場合にも安全性を保つことを目指す暗号技術です。
WebCryptoへの対応により、Webアプリ開発者はブラウザー上でこれらの暗号方式を扱うための選択肢を得られます。
ただし、アルゴリズムが追加されたことだけで、Webサービス全体が自動的に耐量子化されるわけではありません。
実際に導入する際は、サーバー側との互換性や鍵の管理、利用する暗号方式の選定などを含めた設計が必要です。
そのほかの開発者向け変更
Chrome 155では、PWAのウィンドウ操作も強化されました。
ウィンドウ管理の権限を持つWebアプリは、ウィンドウの最大化、最小化、復元などを行えるようになり、ネイティブアプリに近い操作を実現しやすくなります。
CSSには、記号を扱うsymbols()関数や、要素の外側余白を調整するmargin-trimプロパティなどの機能が加わっています。
これらの変更は主にWeb開発者向けですが、対応が進めば、Webアプリの操作性やページレイアウトの改善につながります。
Chrome 155への更新方法
Chrome 155はWindows、Mac、Linux向けに段階的に配信され、環境によっては更新が適用されるまで数日から数週間かかる場合があります。
手動で確認するには、Chromeのアドレスバーにchrome://settings/helpと入力し、設定画面を開いてください。
更新が見つかった場合は、画面の案内に従ってインストールし、適用を完了するためにChromeを再起動します。
既にChromeを利用している場合は自動更新が行われますが、脆弱性の修正を反映するためにも、バージョンを確認して再起動まで済ませておくと安心です。
まとめ
Chrome 155は、247件の脆弱性を修正したセキュリティ上重要なアップデートです。
Rust製デコーダーによるJPEG XL対応やWebCryptoへの耐量子暗号の追加など、今後のWeb開発に関わる機能も盛り込まれています。
利用者はChromeのバージョンを確認して更新を適用し、開発者は新機能の仕様や互換性を確認したうえで活用を検討してください。
