「86-DOS 1.00」の45周年にあわせ、これまでに発見されたなかで最も古いDOSのソースコード資料「Paterson-Listings」がGitHubで公開されました。
資料にはOS本体だけでなく、初期ユーティリティや開発に使われたアセンブラの記録も含まれており、初期のパソコン向けソフトウェアがどのように作られていたのかを知る手掛かりになります。
「Paterson-Listings」とは
今回公開された資料は、86-DOSの開発者として知られるティム・パターソン氏が保管していた紙のソースリスティングなどをもとにしたものです。
ソースリスティングとは、プログラムのソースコードを印刷した資料を指します。
Microsoftは2026年4月28日(現地時間)、86-DOS 1.00の45周年を記念して資料を公開したと発表しました。
公開先はGitHubの「Paterson-Listings」リポジトリで、ライセンスにはMITライセンスが採用されています。
公開された資料の内容
リポジトリには、86-DOS 1.00のカーネルのソースリスティングに加え、PC-DOS 1.00の複数の開発スナップショットや、CHKDSKなど初期ユーティリティのソースが含まれています。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 86-DOS 1.00 | カーネルのソースリスティング |
| PC-DOS 1.00 | 複数の開発段階のスナップショット |
| 初期ユーティリティ | CHKDSKなどのソース |
| 開発ツール | アセンブラ自体のリスティング |
資料には、ある時点での作業状態を示す記録のほか、パターソン氏が書き残した手書きのメモも含まれています。
完成した製品のコードだけでなく、開発途中の痕跡も確認できる点が、この資料の大きな特徴です。
QDOSからMS-DOSへつながる歴史
パターソン氏は、QDOS(Quick and Dirty Operating System)を開発した人物として知られています。
QDOSは後に86-DOSと呼ばれ、その後のMS-DOSの土台となりました。
MS-DOSは、初期のパーソナルコンピューターの普及を支えたOSのひとつです。
そのため、86-DOSのソースコードや開発資料は、個別のOSの記録にとどまらず、パソコンのソフトウェア環境が形作られていく過程を知るうえでも重要です。
紙の記録から読み取れる開発の現場
現代の開発では、Gitなどのバージョン管理システムを使い、変更履歴や作業内容をデジタルで記録するのが一般的です。
一方、今回の資料は紙に印刷されたコードやメモが中心で、開発のある時点を切り取った記録として残されています。
さらに、アセンブリ言語で書かれたOSのコードだけでなく、そのコードを機械語に変換するアセンブラのリスティングも含まれています。
プログラム本体と、それを動作可能な形にするツールの双方を調べられるため、当時の開発環境や作業手順を考えるうえでも貴重な資料です。
なお、公開資料は紙の資料に由来する歴史的な記録です。
現在のソフトウェア開発で使われるリポジトリと同じように、すべての変更が連続して記録されたものとは限らない点には留意が必要です。
実物は博物館に寄贈
紙の資料の実物は、米国ワシントン州タクウィラにあるInterim Computer Museumに寄贈されており、閲覧も可能とされています。
GitHubで公開されたデータを通じて内容を調べられるだけでなく、現物の保存・公開によって、資料そのものの状態を含めた歴史的な価値も伝えられています。
まとめ
「Paterson-Listings」は、86-DOS 1.00やPC-DOS 1.00のコード、初期ユーティリティ、アセンブラの記録などを含む、初期DOSの開発を知るための貴重な資料です。
GitHubで公開されたことで、世界中の研究者や開発者、コンピューター史に関心のある人が内容を確認しやすくなりました。
45周年を機に公開されたこの記録は、MS-DOSへとつながるOSの歴史だけでなく、紙を中心としていた時代のソフトウェア開発の実態を知るうえでも注目されます。
