Microsoftは、Windowsデスクトップアプリ向け開発キット「Windows App SDK 2.0」を公開しました。
WinUI 3やWebView2などを通じて、開発環境やアプリの種類を問わずWindowsアプリを構築できるSDKです。
今回のメジャーアップデートでは、バージョン管理方式を見直したほか、Webコンテンツの操作、AI機能、ファイル選択画面、ウィンドウの見た目などに改良が加えられています。
Windows App SDK 2.0で変わるバージョン管理
Windows App SDK 2.0の大きな変更点の一つが、バージョン番号へのセマンティックバージョニングの採用です。
これにより、従来の日付ベースのビルド番号ではなく、メジャー、マイナー、パッチの3つの数字で更新の性質を表します。
| バージョンの区分 | 示す変更 |
|---|---|
| メジャー | 互換性に影響する大きな変更 |
| マイナー | 互換性を保った機能追加 |
| パッチ | 不具合修正など |
この方式では、数字を見るだけで更新内容の規模を把握しやすくなります。
SDKのバージョンはNuGetパッケージのバージョンと一致するため、依存関係の確認や更新管理も行いやすくなります。
ただし、メジャーバージョンの更新は互換性に関わる変更を含む可能性があります。
既存プロジェクトへ導入する際は、SDKの更新内容や移行時の注意点を確認し、テスト環境でビルドと動作を検証してから本番環境へ適用するのが安全です。
WebView2やWindows AIなど、主な追加・改善点
WebView2でWebコンテンツをドラッグ
WebView2では、表示中のWebコンテンツをドラッグする操作がサポートされました。
Webページ上の要素をアプリ内の別領域へ移動するなど、Web技術を組み込んだデスクトップアプリの操作性向上につながります。
この機能を利用するには、WebView2 Runtime 144.0.3719.11以降が必要です。
SDKだけでなく、アプリが動作する環境のランタイム要件も確認してください。
Windows MLとAI機能を整理
機械学習APIのWindows MLは、互換性を保ちながら内部構成を整理するリファクタリングが行われました。
同梱されるONNX Runtimeはバージョン1.24.5となり、主要機能の一部は新しい基本パッケージ「Microsoft.Windows.AI.MachineLearning」に統合されています。
Windows AIでは、アプリがAIモデルを取得できなかった場合に、失敗の理由と対処方法を示す機能が追加されました。
原因を把握しやすくなるため、利用者への案内やアプリ側のエラー対応を改善できます。
一方、言語モデル「Phi Silica」のAPIは、限定アクセス機能(LAF)として提供されます。
利用にはMicrosoftへの申請が必要となるため、AI機能を組み込む計画がある場合は、開発スケジュールに利用許可の確認を含めておく必要があります。
ストレージピッカーとウィンドウ表現を拡充
ファイルやフォルダーを選択するストレージピッカーには、指定できるオプションが追加されました。
アプリの用途に合わせて選択画面を調整しやすくなり、利用者が目的の保存先やファイルを選ぶ際の案内を整えられます。
新しい「SystemBackdropElement」は、マテリアル効果や角丸を設定できる軽量なFrameworkElementです。
複雑な実装を避けながら、Windowsアプリの画面に背景表現や視覚的なまとまりを加えられます。
そのほか、パッケージの展開・検証APIの拡充、XAML解析時に評価するカスタム条件式「IXamlCondition」、ウィンドウやアイランドを基準にポップアップ位置を指定する機能も追加されています。
導入方法と対応する開発環境
Windows App SDKは、Visual Studio 2026またはVisual Studio 2022で利用できます。
Visual Studio Installerで.NETデスクトップ開発、C++によるデスクトップ開発、ユニバーサルWindowsプラットフォーム開発など、プロジェクトに応じたワークロードを選択します。
すでにWindows App SDKを利用しているプロジェクトでは、NuGetから更新できます。
更新後は、使用しているAPIやWebView2 Runtimeの要件、AI機能のアクセス条件を確認し、対象OSや配布方法を含めてアプリ全体をテストしてください。
WinUI 3のコントロールや利用例を確認するには、「WinUI 3 Gallery」アプリも参考になります。
Windows App SDK 2.0に対応しているため、追加されたUI要素を実際に見ながら、アプリへの適用方法を検討できます。
まとめ
Windows App SDK 2.0は、セマンティックバージョニングによって更新内容を把握しやすくするとともに、WebView2、Windows ML、Windows AI、ストレージピッカー、ウィンドウ表現などを強化したメジャーリリースです。
導入時は、バージョン変更に伴う互換性やランタイム要件を確認し、既存アプリへの影響をテストしたうえで更新することが重要です。
