イラストソフトとして定番の「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」。
調べれば調べるほど、「PROとEXって何が違うの?自分にはどっちが必要なの?」と迷ってしまう方はとても多いです。
この記事では、初心者の方でも機能差と料金・向き不向きが一目でわかるように整理し、「結局どっちを買えば後悔しないか」まで、はっきりと言い切ります。

CLIP STUDIO PAINTとは?初心者向けにPROとEXの前提を整理
CLIP STUDIO PAINTの基本概要とできること

CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)は、イラスト・マンガ・Webtoon(縦スクロール漫画)・2Dアニメーション制作に特化した総合お絵描きソフトです。
開発・販売は日本のソフトウェア企業である株式会社セルシス。
国内外で広く使われており、個人のイラストレーターや同人作家はもちろん、プロのマンガ家・アニメーター・ゲーム会社の制作現場でも採用されています。
クリスタでできることをざっくり挙げると、次のようになります。
- ペンの入り抜きがきれいな線画、厚塗り・アニメ塗りなど多彩な着色
- コマ割り・フキダシ・効果線・トーンを使った本格的なマンガ制作
- Webtoonに最適化された縦長キャンバスでの作品制作
- タイムライン付きでの2Dアニメーション制作(原画・中割り・動画書き出し)
- 3Dデッサン人形や3D背景素材を使った効率的な作画
- クラウド連携や素材共有サービスによる制作の効率化
「イラスト専用ソフト」というより、絵やマンガ周りをまるごと一括でこなせる制作ツールと考えるとイメージしやすいと思います。
イラスト・漫画・Webtoon・アニメでクリスタが選ばれる理由

クリスタがここまで支持される理由は、大きく3つあります。
1つ目は、ペンの描き心地が非常に自然であることです。
ペン圧や手ブレ補正、速度で線の太さが変わる設定などが細かく調整でき、「アナログのペンで描いているような感覚」に近づけられます。
2つ目は、制作を助ける機能が最初から一通りそろっていることです。
コマ割りやフキダシ、スクリーントーン、3Dデッサン人形、背景用3D素材、豊富なブラシ・トーン素材など、別のソフトを行き来せずにマンガやイラストを完結できます。
3つ目は、プロのスタジオでも実際に使用されているという実績です。
個人だけでなく、商業マンガ・Webtoon・アニメ制作現場でも採用されているため、「趣味からプロを目指すまで、ずっと同じソフトを使い続けられる」安心感があります。
初心者が押さえるべきCLIP STUDIO PAINTの強み

初心者の方にとって、クリスタの特にありがたい点は次の3つです。
1つ目は、基本ツールが整理されていて「とりあえず描ける」までが速いことです。
ブラシ・消しゴム・選択・塗りつぶしなどの定番ツールが分かりやすく並び、最初は最低限の機能だけ覚えればOKです。
2つ目は、公式素材ストア「CLIP STUDIO ASSETS」で10万点以上のブラシや素材を無料・有料で入手できることです。
背景・トーン・効果線・3Dモデルなどを活用すれば、「自分一人では描ききれない部分」を補いながら作品を仕上げられます。
3つ目は、チュートリアルや講座が圧倒的に多いという点です。
公式の「CLIP STUDIO TIPS」やユーザー発の解説記事・動画が非常に充実しているため、「わからないところがあっても、検索すればほぼ必ず解決策が見つかる」環境が整っています。
CLIP STUDIO PAINT PROとEXの違い
PROとEXの機能差

まず押さえておきたいのは、「絵を描く基本機能はPROもEXも同じ」という点です。
線の描き心地、ブラシ、色塗りなどは共通で、描画品質が変わることはありません。
違いが出るのは、主に次のような部分です。
- 複数ページ作品をまとめて管理できるか
- Webtoon(縦スクロール漫画)用の専用機能の有無
- アニメーションをどこまで長く作れるか(フレーム数・シーン数)
- PDFやePubなどへの一括書き出しができるか
表で整理すると、イメージがつかみやすくなります。
| 項目 | PRO | EX |
|---|---|---|
| 描画・塗り機能 | あり | あり |
| 1ページ漫画 | 可能 | 可能 |
| 複数ページ管理(本格連載) | 不可 | 可能 |
| Webtoon専用テンプレ・出力 | 基本的機能のみ | 専用機能が充実 |
| アニメーション最大フレーム | 24コマ程度 | 実質無制限レベルで長尺対応 |
| PDF/ePub一括書き出し | 不可 | 可能 |
「1枚絵がメインか」「複数ページの作品を本格的に作るか」が、PROとEXを分ける最大のポイントです。
複数ページ管理やWebtoon機能などEXだけの強み

EX最大の強みは、「作品全体を1つのファイルとして管理できる」ことです。
具体的には、次のようなことができます。
- 表紙・本文・奥付など、複数ページを一覧で管理
- ページ順序の入れ替えや、ページの追加・削除を一括で操作
- Webtoon向けの縦スクロールキャンバスを作品単位で管理
- 完成作品を、PDF・ePub・画像の連番として一括書き出し
マンガやWebtoonを連載レベルで制作すると、「1話あたり数十〜数百ページを扱う」ことが珍しくありません。
その場合、1ページごとにファイルを分けるPROでは、管理がどうしても煩雑になります。
EXであれば、作品単位で一気に管理・チェック・出力できるため、同人誌制作や商業連載、Webtoon配信プラットフォーム向け作品など、「本気でマンガ・Webtoonをやりたい人」にとってはほぼ必須のグレードと言えます。
アニメーション機能の違い

アニメ機能についても、「触り心地や基本機能は同じだが、規模が違う」と考えてください。
- PRO:タイムライン付きアニメーションに対応。ただし最大フレーム数に制限があり、短いループアニメや簡単なカット制作向きです。
- EX:長尺アニメーション制作に対応。シーン(カット)を分けて管理したり、より多くのフレームを扱えるため、本格的なアニメ制作に向いています。
「動くイラストをSNSに上げたい」「数秒〜十数秒の簡単なアニメーションを作りたい」程度であればPROで十分です。
一方、「アニメーター志望」「OP・PV・MVをきちんと作り込みたい」のであれば、最初からEXを選んでおいた方が後悔が少なくなります。
DEBUT版との違いと、初心者にDEBUTを勧めない理由

CLIP STUDIO PAINTには、PROとEXのほかに「DEBUT」という入門版もあります。
ただし、DEBUTは単体販売されておらず、以下のような形でのみ入手できます。
- 「CLIP STUDIO TABMATE」「TABMATE 2」など、対応デバイス購入特典
- pixivプレミアム登録などのキャンペーン特典
DEBUTは、機能がかなり制限された“お試し版”のような位置づけで、 ブラシやレイヤー機能、マンガ機能、アニメーション機能の一部が使えなかったり、PRO/EXと比べてできないことが多くなっています。
初心者にDEBUTをあまりおすすめしない理由は、次の2つです。
- 慣れてきた頃に「やりたいこと」ができなくなって買い直しになる
- ネット上のチュートリアルの多くはPRO/EX前提で解説されており、「同じボタンがない」「その機能が出てこない」と迷子になりやすい
本気で始めたいなら、最初からPROかEXを選ぶほうが圧倒的に快適です。
キャンペーンでDEBUTをもらえたとしても、体験用と割り切って、メイン環境はPRO/EXで整えることをおすすめします。
CLIP STUDIO PAINTの料金とプランの選び方
買い切り版(PROとEX)の価格と向いている人

クリスタには、Windows / macOS向けに「無期限版(買い切り版)」があります。
2025年時点の公式価格(Ver.4.0無期限版)は次の通りです。
| グレード | 価格(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| PRO(ダウンロード版) | 6,400円 | もっとも標準的な買い切り |
| EX(ダウンロード版) | 26,900円 | マンガ・Webtoon・本格アニメ向け |
※パッケージ版はPRO約8,500円、EX約36,000円前後で、販売店により変動します。
無期限版は、一度購入すればそのバージョンを期限なく使えるのが特徴です。
将来、大型アップデート(Ver.5.0など)で追加される新機能を使いたい場合は、別途「アップデートプラン」や優待バージョンアップが必要になります。
買い切り版が向いているのは、次のような方です。
- メインがWindows / macOSのPCで、長く同じ環境で描き続けたい
- サブスク課金が苦手で、「ソフトは買い切りで所有したい」
- 毎月の固定費を増やしたくない
「3〜4年以上使うつもり」なら、PRO無期限版6,400円は月額換算でかなり割安になっていきます。
趣味〜同人レベルであれば、PC用にPROの買い切りを1本持っておくのがおすすめです。
サブスク(月額・年額)プランの特徴とメリット

サブスク(月額・年額)プランは、Windows / macOS / iPad / iPhone / Android / Chromebookなど、ほぼすべての対応デバイスで利用できます。
2025年時点の代表的なプラン(1デバイス)は次の通りです。
| プラン | 月額の目安(税込) | 年額の目安(税込) | 備考 |
|---|---|---|---|
| PRO 1デバイス | 480円前後 | 約3,000円(年払い割引) | PC / iPadなどに対応 |
| EX 1デバイス | 980円前後 | 約8,300円(年払い割引) | PROより高機能 |
※ストアやキャンペーンにより価格は変動します。
サブスクプランのメリットは、次のような点です。
- 常に最新バージョンの機能が使える
- 必要な期間だけ契約でき、短期利用に向いている
- iPadやスマホなど、モバイルデバイスでも同じアカウントで使える
「最初はiPadでお試し → 気に入ったらPCでも本格的に」というように、デバイスをまたいで柔軟に運用したい方には、サブスクのほうが圧倒的に使いやすくなります。
スマホ専用プランと無料で試す方法

クリスタには、スマートフォン専用の低価格プランも用意されています。
iPhone / Androidスマホ向けに、目安として次のような料金設定があります。
- PROスマホプラン:月額100円前後
- EXスマホプラン:月額300円前後
さらに、スマホ版は契約なしでも「1日1時間無料」で利用できます。
ちょっとした落書きや、クリスタの描き心地を試すには十分な時間です。
CLIPPYポイントを使えば、1時間延長を月10回まで追加することもできます。
加えて、サブスクプランの初回申込時には、最大3ヶ月無料で使えるキャンペーンも行われています(一部スマホプランを除く)。
また、デスクトップ版・タブレット版には、期間限定の体験版があり、新規ユーザーは最長3〜6ヶ月程度無料で試せることも多いです。
「いきなり買うのが不安」であれば、まずはスマホの1日1時間無料や体験版で実際の描き心地を確かめ、そのうえで自分に合うプランを選ぶと安心です。
PROとEXをコスパで比較

コスト面で見ると、PROとEXには約4倍の価格差があります。
この差をどう考えるかは、「自分が作る作品の規模と頻度」によって変わります。
- 1枚イラスト・キャラクター絵が中心で、マンガやアニメはおまけ程度 → PROで十分。EXの追加機能を使い切れず、コスパが悪くなります。
- 同人誌・商業マンガ・Webtoon・長尺アニメなどを、継続的に本格制作したい → EXの複数ページ管理や一括書き出し、長尺アニメ機能が制作時間を大きく節約し、結果的にEXのほうが割安になるケースも多いです。
「これから本気でマンガ・Webtoon・アニメをやっていく」なら、EXの価格差は十分に投資価値があると言えます。
一方、「まずはイラストから」「続くか分からないから様子見したい」という段階なら、PROのほうが圧倒的にコスパが良いです。
初心者はCLIP STUDIO PAINT PROとEXどっちを買うべきか
まずはCLIP STUDIO PAINT PROがおすすめな人

結論から言うと、「イラスト・キャラ絵・1ページ漫画がメイン」という初心者の方は、ほぼ間違いなくPROで十分です。
PROがおすすめな人の例を挙げると、次のようになります。
- SNSに投稿するイラスト・ファンアートを描きたい
- キャラクターデザインやイラスト集を作りたい
- 1ページ完結の4コマ漫画や簡単なショート漫画を描いてみたい
- 数秒のループアニメ(GIFや短い動画)を作ってみたい
- まずはお絵描きソフトとしてクリスタを試してみたい
こういった用途では、EXの「複数ページ管理」や「長尺アニメ」機能はほぼ出番がありません。
描き心地や色塗り機能はEXと同じなので、「イラストソフトとしての実力」はPROで完全に足りています。
イラスト中心の方は、まずは下記リンクからCLIP STUDIO PAINT PROをチェックしてみてください。
最初からCLIP STUDIO PAINT EXを選ぶべき人

一方で、次のような方は最初からEXを選んだ方が確実に幸せになれます。
- 同人誌(複数ページ)を定期的に出したい
- 商業マンガ・Webtoonを本格的に目指している
- Webtoon配信プラットフォーム向けに、縦スクロール作品を継続的に制作したい
- アニメーター志望で、長尺のアニメーション制作にもチャレンジしたい
- 仕事としてクライアントワークを受ける可能性が高い
こういったケースでは、「複数ページ管理」「Webtoon専用機能」「長尺アニメ対応」が制作効率を大きく左右します。
途中でPROからEXへアップグレードすることも可能ですが、最初からEXの画面構成やワークフローに慣れておいた方が、学び直しも少なくて済みます。
将来的にプロや半プロを視野に入れているなら、EXは“先行投資”として十分価値のある選択です。
本格的なマンガ・Webtoon・アニメ制作を見据えている方は、以下からCLIP STUDIO PAINT EXの詳細を確認してみてください。
イラスト中心ならPRO、漫画・Webtoon本格制作ならEX

ここまでをシンプルに整理すると、選び方は非常に明快です。
- イラスト中心 → PRO
- マンガ・Webtoon・長尺アニメなどの本格制作中心 → EX
アニメーションに関しては、
- SNS用の短いループアニメ → PROで十分
- PVやMV、複数カットからなる本格アニメ → EX推奨
という分け方をすると分かりやすいです。
「自分がこれから一番時間をかけたいのはどのジャンルか」を基準にして選べば、ほとんど迷う余地はありません。
迷ったらこう選ぶ

それでも「やりたいことがまだはっきり決まっていない」という方もいると思います。
その場合は、次のように割り切ってみてください。
- まず「複数ページマンガ/Webtoonを本格的にやる予定があるか」を自問する
- 「今後1〜2年以内に同人誌・商業レベルの作品を作るか」で判断する
- どちらも「分からない」「まだ決めていない」なら、一旦PROを選ぶ
理由はシンプルで、ほとんどの初心者は最初の1〜2年、イラスト練習や短い作品作りに時間を使うからです。
その段階でEXの高度な機能をフルに使い切れる人はあまり多くありません。
「イラストをたくさん描いているうちに、徐々にやりたいことが見えてくる」ので、 まずはPROで基礎を固め、必要になったタイミングでEXへのステップアップを検討する流れが、一番ストレスが少なくなります。
購入前に無料体験でPROとEXの違いを確認しよう

どうしても決めきれない場合は、無料体験をフル活用するのがおすすめです。
- サブスク(月額・年額)プランは、初回申込で最大3ヶ月無料(一部プラン除く)
- スマホ版は、契約なしでも1日1時間無料で利用可能
- デスクトップ・タブレット版の体験版も、キャンペーン次第で最長3〜6ヶ月程度無料で使えることが多い
実際にプロジェクトを作って、「複数ページ管理がどれくらい便利か」「アニメ機能をどのくらい使うか」を体感してみると、 自分にとって必要なグレードがかなりはっきり見えてきます。
とはいえ、時間をかけすぎるといつまでもスタートできないので、 「無料で1〜2週間触ってみる → PROかEXを決めて本契約する」というくらいのテンポ感で動くのがおすすめです。
まとめ

ここまでの内容をもう一度整理します。
- CLIP STUDIO PAINTは、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメ制作を1本で完結できる総合ソフトです。描き味・塗り・素材・3D人形など、初心者〜プロまで使える機能がそろっています。
- PROとEXの違いは「作品規模」と「管理機能」であり、描き心地や基本の描画機能は同じです。
- 1枚絵・キャラ絵・短いアニメ中心なら、CLIP STUDIO PAINT PROで十分です。
- 複数ページマンガ・Webtoon・長尺アニメを本格的に作るなら、CLIP STUDIO PAINT EXが圧倒的に有利です。
- 迷った時は、「今〜1〜2年のメインがイラストか、マンガ/Webtoonか」を基準にし、決めきれなければ一旦PROを選ぶのが現実的です。
- 不安があれば、最大3ヶ月無料の体験版やスマホ版の1日1時間無料を活用し、実際に描いてから決めるのがおすすめです。
大事なのは、「どのグレードにするか」でいつまでも悩むことではなく、今日から実際に描き始めることです。
クリスタなら、趣味のイラストからプロの制作現場まで、同じツールでずっとステップアップしていけます。
イラスト中心で「まずはクリスタを始めてみたい」方は、こちらからPROをチェックしてみてください。
マンガ・Webtoon・アニメを本気でやりたい、将来的にプロや同人で収益化も視野に入れている方は、EXを検討してみてください。
あなたが最初に選ぶ1本が、これからの創作人生の標準ツールになります。
クリスタで、今日から「描きたかった世界」を形にしていきましょう。

