はじめてのPythonスクリプト作成では、まず正しいファイルの置き場所と保存形式を押さえ、次にターミナルやコマンドプロンプトから実行する流れを体験することが大切です。
この記事では、.pyファイルの作成からWindowsとmacOSでの実行まで、つまずきやすい確認ポイントも含めて丁寧に解説します。
ただし、既にPythonの導入が環境しているものとして進めていくので、Pythonのインストールがまだの場合はこちらを参考にインストールしておいてください。
初めてでも迷わないよう、最小限のコマンドと手順に絞って進めます。
Pythonスクリプト(.py)の基本
.pyファイルとは
Pythonのソースコードを保存したテキストファイルが.py
です。
.pyはただのテキストファイルなので、Wordのようなワープロではなくテキストエディタで作ります。
保存したファイルはPythonインタプリタpython
またはpython3
に渡して実行します。
スクリプトと対話モードの違い
Pythonにはファイルに書いて実行する方法と、1行ずつ試す対話モードがあります。
学習の初期は両方使い分けると効率が良いです。
観点 | スクリプト実行 .py | 対話モード REPL |
---|---|---|
主な用途 | プログラムを保存・再実行 | 試行錯誤や小さな確認 |
実行方法 | python example.py | python を起動して1行ずつ |
履歴 | ファイルに残る | 終了すると消える |
規模 | 大きな処理に向く | 小さな処理に向く |
再利用や共有、バージョン管理を考えるとスクリプト化が基本で、動作確認は対話モードが便利です。
準備するもの テキストエディタとターミナル
テキストエディタはVisual Studio Codeやメモ帳、テキストエディットなど任意のものを使えますが、拡張子をそのまま保存できUTF-8で保存可能なエディタを選びます。
コマンドを打つために、WindowsではコマンドプロンプトまたはPowerShell、macOSではターミナルを使います。
- 関連記事:Pythonのバージョンを確認したい
.pyファイルを作成する手順
プロジェクト用フォルダを作る
学習や小さなアプリでも、まず専用のフォルダを作ると迷子になりません。
エクスプローラやFinderで作っても、コマンドで作っても構いません。
# macOS または Linux の例
# ホーム直下に "py-first-steps" フォルダを作る
mkdir -p ~/py-first-steps
# Windows PowerShell の例
# ドキュメント配下に "py-first-steps" フォルダを作る
New-Item -ItemType Directory "$HOME\Documents\py-first-steps" | Out-Null
エディタで新規作成してUTF-8で保存
エディタで新規ファイルを作成し、文字コードをUTF-8で保存します。
保存時に文字コードを選べない場合、多くのエディタは既定でUTF-8なのでそのままで構いません。
Windowsのメモ帳は「名前を付けて保存」でエンコードからUTF-8を選べます。
ファイル名を付ける example.py
ファイル名は半角英数字とアンダースコアのみを使い、拡張子は.py
です。
ここではexample.py
とします。
example.py.txtのように余計な拡張子が付くと実行できません。
Windowsは「表示」から「ファイル名拡張子」を有効にすると確認できます。

動作確認用の1行を書く
最初は画面に文字を出す1行が定番です。
以下をexample.py
に書いて保存します。
# example.py
# これは最初のPythonスクリプトです。画面に文字を表示します。
print("Hello, Python! from example.py") # 文字列を出力する
実行結果のイメージは次の通りです。
Hello, Python! from example.py
ここまでで「フォルダを作る→.pyに保存→1行書く」準備が完了です。
実行できない場合は作成したスクリプトと同じフォルダへの移動ができていない(ファイルを見つけられない可能性が高いです。
WindowsまたはMacでカレントディレクトリの移動方法がわからない場合はこちらを参考に実行してみましょう。
.pyを実行する【Windowsでの方法】
コマンドプロンプトを開く
Windowsキーを押して「cmd」と入力しコマンドプロンプトを開きます。
PowerShellでも構いませんが、ここではコマンドプロンプトの例を示します。
cdでフォルダへ移動
作成したフォルダに移動します。
ドライブが異なる場合はドライブレターの入力が必要です。
REM 例: ドキュメント配下の py-first-steps に移動
C:
cd %HOMEPATH%\Documents\py-first-steps
REM 中身を確認
dir
任意のフォルダパスを簡単に取得したい場合、まずエクスプローラーでpyファイルがあるフォルダを表示します。
そして、上部に表示されているアドレスバーを右クリックして、アドレスをコピー(アドレスをテキストとしてコピーでも可)をクリックすると、そのフォルダのパスを簡単に取得できます。

パスについてあまり理解していない人はこの方法が確実です。
py script.py または python script.py
WindowsではPythonランチャーpy
での実行が簡単です。
py example.py
またはpython example.py
のどちらでも動きます。
REM Pythonランチャーで実行
py example.py
REM または Python で実行
python example.py
Hello, Python! from example.py
複数バージョンがある場合はpy -3 example.py
のようにメジャーバージョンを指定できます。
REM Python 3 系で実行
py -3 example.py
実行できない時 PATHと拡張子を確認
実行時に次のようなエラーが出た場合は、原因を切り分けます。
- ‘py’ is not recognized as an internal or external command もしくは ‘python’ は内部コマンドまたは外部コマンドとして…
まずインストール有無とPATHを確認します。
REM インストール場所を探す
where py
where python
REM バージョン表示を確認
py --version
python --version
どちらも見つからない場合はPythonを再インストールし、インストーラの「Add python.exe to PATH」を有効にします。
Microsoft Store版ではpython
のみ通る場合があるため、py
での実行も試します。
- 実行しても何も起きない、ダブルクリックで一瞬で閉じる
コマンドプロンプトから実行してメッセージを確認します。ダブルクリック実行は初心者には非推奨です。 - そもそも
example.py
が見つからない
エクスプローラで「ファイル名拡張子」を表示にして、example.py.txt
になっていないか確認します。
REM 現在のフォルダとファイルを確認
cd
dir
- 拡張子関連付けが壊れている
実行には必須ではありませんが、関連付けを見直す場合は次のコマンドで確認できます。
REM .py の関連付け確認
assoc .py
ftype Python.File
.pyを実行する macOSの方法
ターミナルを開く
Spotlightで「Terminal」と検索してターミナルを開きます。
以降はシェルにコマンドを入力します。
cdでフォルダへ移動
作成したフォルダに移動し、ファイルを確認します。
# 例: ホーム直下の py-first-steps に移動
cd ~/py-first-steps
# 中身を確認
ls -l
python3 script.pyで実行
macOSではpython3コマンドでの実行が標準です。
まずバージョンを確認し、続いて実行します。
# バージョン確認
python3 --version
# 実行
python3 example.py
Hello, Python! from example.py
直接実行したい場合は先頭にシバン行を追記し、実行権限を付けます。
#!/usr/bin/env python3
# example.py
print("Hello, Python! from example.py")
# 実行権限を付与して直接実行
chmod +x example.py
./example.py
Hello, Python! from example.py
実行できない時 pythonとpython3を確認
- command not found: python3
Pythonがインストールされていません。公式サイトのインストーラで導入するか、Homebrewを使います。
# Homebrew がある場合のインストール例
brew install python
# パスを確認
which python3
python3 --version
- pythonはあるがpython3がない
古い環境や別ツールのエイリアスの可能性があります。python --version
で2系ではないか確認し、必ずpython3
で実行します。必要ならエイリアスを設定します。
# 一時的に python で python3 を呼ぶ
alias python=python3
python --version
python example.py
- パスが通っていない
インストール後にシェルを再起動し、echo $PATH
でパスを確認します。必要ならターミナルを閉じて開き直します。
まとめ
.pyファイルの作成と実行は「フォルダを作る→UTF-8で保存→ターミナルで実行」という3ステップで完了します。
Windowsではpy example.py
またはpython example.py
、macOSではpython3 example.py
が基本です。
実行できない時はコマンドが見つかるか、拡張子が正しいか、保存場所が合っているかを順に確認してください。
少しずつ手順を体で覚えると、以降の学習でも迷いません。
まずは今回のexample.py
を土台に、行を増やしながら自分の手で動かしてみましょう。