ITエンジニアへの登竜門として知られる「基本情報技術者試験」は、多くのエンジニアや学生が最初に目指す国家資格の一つです。
しかし、広範な試験範囲と専門的な内容から「独学で合格できるのか」「どのくらいの期間、勉強すればよいのか」と不安を感じている方も少なくありません。
特に2023年度からは試験制度が大きく刷新され、従来の試験形式とは攻略法が異なります。
本記事では、プロの視点から基本情報技術者試験を独学で突破するために必要な期間と学習時間を徹底解説します。
未経験者から経験者まで、最短ルートで合格を勝ち取るための具体的なスケジュールや学習のポイントを詳しく見ていきましょう。

基本情報技術者試験の合格に必要な勉強時間と期間の目安
基本情報技術者試験に合格するために必要な勉強時間は、受験者の現在の知識レベルや実務経験によって大きく異なります。
一般的には、IT未経験者の場合は200時間から300時間程度、IT系の学生や実務経験がある方の場合は50時間から100時間程度が目安とされています。
これを期間に換算すると、1日2時間の学習を確保できる場合、未経験者であれば3ヶ月から5ヶ月程度の期間を見積もっておくのが現実的です。
以下の表に、学習者の属性別の目安時間をまとめました。
| 学習者の属性 | 必要な勉強時間の目安 | 準備期間の目安(1日2時間の場合) |
|---|---|---|
| IT完全未経験者 | 200〜300時間 | 3ヶ月〜5ヶ月 |
| IT系の学生・新人エンジニア | 100〜150時間 | 1.5ヶ月〜2.5ヶ月 |
| 応用情報レベルの既学習者 | 30〜50時間 | 0.5ヶ月〜1ヶ月 |
IT未経験者の場合、まずは用語の理解から始める必要があるため、インプットに時間がかかります。
一方で、すでにプログラミング経験がある方や情報系の学部で学んでいる方は、鬼門とされる科目B(旧午後試験相当)の対策時間を大幅に短縮できるため、より短い期間での合格が可能です。

短期間で合格するための時間配分の考え方
独学で最短合格を目指すなら、単純な合計時間だけでなく「どの分野にどれだけの時間を割くか」という戦略が極めて重要です。
基本情報技術者試験は、2023年4月から「科目A」と「科目B」の2つのセクションに分かれました。
科目Aは広範な知識を問う形式であり、科目Bはアルゴリズムや情報セキュリティに関する思考力を問う形式です。
合格者の多くは、科目Aに4割、科目Bに6割の時間を配分しています。
特に、配点の高い科目Bのアルゴリズム問題をいかに早く攻略できるかが、全体の学習期間を短縮する鍵となります。
試験制度変更による学習期間への影響
2023年4月からの新制度移行により、試験の実施形式がCBT (Computer Based Testing) 方式へ完全移行しました。
これにより、以前のように「年に2回の試験日に合わせる」必要がなくなり、自分の学習進度に合わせていつでも受験予約が可能になりました。
この変更は、独学者のスケジュール管理に大きなメリットをもたらしています。
CBT方式への移行と試験時間の短縮
新制度では、試験時間も短縮されました。
科目Aが90分、科目Bが100分となり、以前の試験に比べて拘束時間が短くなっています。
また、合否判定も試験終了後すぐに(または数日以内に)マイページで確認できるようになったため、もし不合格だった場合でも、すぐに再挑戦の計画を立てられるのが特徴です。
出題範囲の絞り込みによる効率化
新制度の大きな特徴は、科目Bの出題範囲が「アルゴリズムとプログラミング」および「情報セキュリティ」の2分野に集約されたことです。
以前は経営戦略やハードウェアなど、科目B(旧午後試験)でも幅広い選択肢がありましたが、現在は分野が固定されています。
これにより、学習すべき対象が明確になり、特定の分野を深く対策することで、以前よりも短期間で合格ラインに到達しやすくなったと言えます。

独学で最短合格を目指すための3ステップ学習法
限られた期間で効率よく合格を掴み取るためには、闇雲にテキストを読み進めるのではなく、体系的なステップを踏むことが重要です。
ここでは、多くの合格者が実践している王道の3ステップを紹介します。
ステップ1:科目Aの基礎知識を「広く浅く」インプットする
まずは科目A対策から始めます。
基本情報技術者試験の範囲は非常に広いため、最初からすべての用語を完璧に暗記しようとすると挫折の原因になります。
まずは、IT用語の全体像を把握するために、初心者向けの参考書を1〜2周さらっと読み流すことから始めましょう。
この段階では、2進数、CPU、データベース、ネットワークといった主要なキーワードの意味がなんとなく理解できれば十分です。
深い理解は問題演習を通じて得られるため、インプットには時間をかけすぎない(目安:全体の学習時間の20%程度)ことがポイントです。
ステップ2:過去問演習で「科目A」の正答率を8割まで引き上げる
インプットが一段落したら、すぐにアウトプット(問題演習)に移ります。
科目Aは過去に出題された問題やその類題が多く出題される傾向があるため、過去問演習が最も効果的な対策となります。
Webサイトやアプリを活用し、隙間時間に問題を解く習慣をつけましょう。
正解した問題よりも、間違えた問題の解説を熟読することが重要です。
科目Aで安定して80%以上の正答率が出せるようになれば、次のステップである科目Bの対策に集中できます。
ステップ3:鬼門の「科目B(アルゴリズム)」に注力する
基本情報技術者試験において、最大の壁となるのが科目Bです。
特に「アルゴリズムとプログラミング」の分野は、単なる暗記では太刀打ちできません。
ここでは、擬似言語を用いたコードの読み方をマスターする必要があります。
独学で最も時間がかかるのがこのステップです。
トレース(プログラムの動きを一行ずつ追う作業)の練習を繰り返し、プログラムの論理的な流れを理解できるようにトレーニングしましょう。
ここを突破できれば、合格は目前です。

独学に欠かせないおすすめの教材と活用術
独学の成否は、教材選びにかかっていると言っても過言ではありません。
自分のレベルに合った教材を選び、それを徹底的に使い倒すことが短期間合格への近道です。
定番の参考書と問題集
まずは、図解が多く分かりやすいテキストを1冊用意しましょう。
- キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者イラストが豊富で、概念を視覚的に理解できるため、未経験者に最適です。
- 栢木先生のITパスポート/基本情報技術者教室重要ポイントが簡潔にまとまっており、効率よく学習できます。
- 出るとこあるある 基本情報技術者 科目B科目B対策に特化した参考書で、アルゴリズムの考え方を丁寧に解説しています。
Webサイトとアプリの活用
机に向かって勉強する時間だけでなく、通勤・通学時間などの「隙間時間」をいかに活用するかが期間短縮のポイントです。
- 基本情報技術者試験ドットコム(過去問道場)独学者必須の神サイトです。数千問におよぶ過去問をクイズ形式で解くことができ、詳細な解説も無料で閲覧できます。
- YouTubeの解説動画テキストだけでは理解しにくい「ネットワークの仕組み」や「アルゴリズムのトレース方法」などは、動画で視覚的に学ぶと理解が早まります。
モチベーションを維持し、挫折を防ぐスケジュール管理
独学で数ヶ月間の学習を継続するのは簡単ではありません。
特に、仕事や学業と両立しながらの学習は、途中でモチベーションが低下しがちです。
スモールステップの設定
「3ヶ月で合格する」という大きな目標だけでなく、「今週中に科目Aのネットワーク分野を終わらせる」「今日は過去問を10問解く」といった小さな目標(スモールステップ)を設定しましょう。
達成感を積み重ねることで、学習の習慣化を促進できます。
模試の活用と軌道修正
学習開始から1ヶ月〜2ヶ月経過した段階で、一度本番形式の模試(予想問題)を解いてみてください。
自分の現在の実力を客観的に把握することで、「どこが弱点か」「あと何時間学習が必要か」が明確になります。
CBT試験はいつでも受けられるからこそ、あらかじめ「試験日」を予約してしまい、自分に締め切りを課すことも非常に有効な手段です。

独学者が陥りやすい罠と最短攻略のポイント
最後に、独学で試験に挑む際に注意すべきポイントをいくつか挙げます。
これらを意識するだけで、無駄な学習時間を大幅に削ることができます。
- 満点を目指さない
基本情報技術者試験は100点満点中、60点以上で合格です。難解な計算問題やマニアックな用語に固執して時間を浪費するよりも、頻出問題を確実に取りこぼさないことの方が重要です。 - 古い過去問に執着しすぎない
2023年度以前の「午後試験」は、現在の「科目B」と形式が異なります。特に言語選択(C、Java、Pythonなど)があった時代の過去問は、現在の形式とは乖離があるため、最新のサンプル問題や新制度対応の予想問題集を優先しましょう。 - 科目Bの「情報セキュリティ」を確実に取る
科目Bは全20問中、4問が情報セキュリティ、16問がアルゴリズムです。セキュリティ問題は比較的難易度が低く、得点源になりやすいため、ここで確実に加点することが合格率を高めます。
まとめ
基本情報技術者試験は、IT未経験者であっても正しい戦略と継続的な学習があれば、3ヶ月から5ヶ月の独学で十分に合格可能な試験です。
新制度のCBT方式に合わせた効率的な学習スケジュールを組み、特に「科目B」のアルゴリズム対策に重点を置くことが、最短ルートを突き進む鍵となります。
まずは今日、自分に合った参考書を1冊手に取ることから始めてみてください。
ITの基礎体力をつけるこのプロセスは、資格取得という結果以上に、エンジニアとしてのキャリアにおける揺るぎない土台となるはずです。
合格を目指して、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。
