「Webデザイナーになりたいけれど、お金がないから職業訓練校に行こう」と考えている方は非常に多いです。
しかし、インターネットで検索すると「職業訓練校 Webデザイン 就職できない」「やめとけ」といったネガティブなキーワードが並び、不安を感じているのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、職業訓練校に通うだけでWebデザイナーとして就職するのは非常に困難というのが現実です。
しかし、それは「不可能」という意味ではありません。
正しい戦略と圧倒的な努力があれば、未経験からでも内定を勝ち取ることは十分に可能です。
この記事では、なぜ職業訓練校からの就職が難しいと言われるのか、その構造的な理由を解き明かし、その上で競争率の高いWeb業界へ未経験者が潜り込むための具体的な全戦略を徹底解説します。
ただ通うだけの受講生から脱却し、採用担当者が欲しがる人材になるためのロードマップを提示しますので、ぜひ最後までお読みください。
職業訓練校のWebデザインコースは就職できない?その冷徹な5つの理由
職業訓練校(ハロートレーニング)は、失業者が再就職するための素晴らしい制度です。
しかし、Webデザインコースに関しては、卒業生の多くが希望する職種に就けず、挫折してしまうケースが後を絶ちません。
なぜこれほどまでに「就職できない」と言われるのでしょうか。
そこには、構造的な5つの理由が存在します。

1. 学習期間が短すぎてスキルが定着しない
多くの職業訓練コースは、期間が3ヶ月から6ヶ月程度です。
Webデザインに必要なスキルは多岐にわたります。
- デザイン基礎(配色、レイアウト、タイポグラフィ)
- デザインツール操作(Photoshop, Illustrator, Figma, XD)
- コーディング基礎(HTML, CSS)
- インタラクション(JavaScript, jQuery)
- レスポンシブ対応、CMS(WordPress)
これらを未経験者が3ヶ月で習得するのは、物理的に不可能です。
結果として、「ツールの使い方は知っているが、自分でゼロからサイトを作れない」という中途半端な状態で卒業を迎えることになります。
現場が求めているのは「教わったことができる人」ではなく「課題を解決するデザインができる人」です。
このギャップが埋まらないまま就職活動に突入するため、苦戦を強いられます。
2. カリキュラムが現場のトレンドとズレている
職業訓練校のカリキュラムは、必ずしも最新のWeb業界のトレンドを反映しているわけではありません。
Web業界の技術進歩は非常に速く、1年前の常識が通用しないこともあります。
例えば、現在のWeb制作現場ではデザインツールとしてFigmaがデファクトスタンダードになりつつありますが、訓練校によっては依然としてPhotoshopでのWebデザイン作成のみを教えている場合があります。
また、コーディングにおいても、古いバージョンのHTMLやCSSの書き方を教えられるケースも散見されます。
古い技術しか持っていない未経験者を、教育コストをかけてまで採用したい企業は極めて少ないのが現実です。
3. ポートフォリオ(作品集)のレベルが低い
Webデザイナーの採用において、学歴や資格よりも最重視されるのがポートフォリオです。
しかし、職業訓練生のポートフォリオには、以下のような共通する弱点があります。
- 課題で作った架空サイトばかり:授業の課題で作ったカフェや美容室のサイトがそのまま掲載されており、オリジナリティがない。
- デザインの意図が説明できない:なぜその色にしたのか、なぜそのレイアウトなのかという論理的な裏付けがない。
- コーディングの実装がない:デザインカンプ(画像)だけで終わっており、実際にWebブラウザで動く状態になっていない。
採用担当者は、何百ものポートフォリオを見ています。
「あ、またこの訓練校の課題か」と一瞬で見抜かれ、その時点で選考対象から外されてしまうのです。
4. 「未経験歓迎」求人の実態と倍率
求人サイトで「Webデザイナー 未経験歓迎」という言葉を見かけることがありますが、これを鵜呑みにしてはいけません。
この「未経験」には、多くの場合「実務未経験だが、独学でプロレベルのスキルがある人」という裏の意味が含まれています。
さらに、Webデザイナーは人気の職種であるため、1つの未経験枠求人に100人以上の応募が殺到することも珍しくありません。
その中には、美大出身者や、有料の専門スクールで1年以上学んだ猛者も含まれています。
職業訓練校で数ヶ月学んだだけの人が、この競争に勝つのは至難の業です。
5. 「学校が就職させてくれる」という受け身の姿勢
これが最大の要因かもしれません。
職業訓練校に通えば、自動的にスキルが身につき、ハローワークが就職先を用意してくれると考えている受講生が一定数います。
しかし、Web業界は自走力(自分で調べ、学び、解決する力)がなければ生き残れない世界です。
「教えてもらっていないからできません」というスタンスが見えた瞬間、採用は見送られます。
「訓練校はあくまできっかけであり、勝負は授業外の時間で決まる」というマインドセットがない限り、内定は遠い夢となります。
【実態】職業訓練校Webデザインコースのカリキュラム限界を知る
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
まずは、職業訓練校で提供される一般的なカリキュラムの内容と、その限界を正しく理解しましょう。
これにより、「何を自分で補完しなければならないか」が明確になります。

一般的な3ヶ月〜6ヶ月コースの内容
多くの訓練校では、以下のようなスケジュールで学習が進みます。
- 最初の1ヶ月:コンピュータ基礎、Officeソフト(Word, Excel)、著作権などの座学、HTML/CSSの基礎文法。
- 2〜3ヶ月目:Photoshop、Illustratorの基本操作、バナー作成、Webサイトのデザインカンプ作成、レスポンシブデザインの基礎。
- 4ヶ月目以降(長期のみ):WordPressの基礎、JavaScript/jQueryの基礎、グループ制作、ポートフォリオ作成、就職支援。
一見、充実しているように見えますが、それぞれの項目に割ける時間はわずかです。
例えば、Photoshopの授業が1週間で終わることもあります。
プロが数年かけて磨くスキルを数日で通過するため、「操作方法はなんとなくわかる」レベルで止まってしまうのです。
現場スキルとの決定的ギャップ
訓練校のカリキュラムで特に不足しているのが、以下の「現場で必須のモダンなスキル」です。
- バージョン管理システム(Git/GitHub)
現場ではチームで開発を行うため、Gitでのファイル管理は必須です。
しかし、訓練校ではFTPソフトでのアップロードしか教えないケースが多く、実務に入ってから躓く原因になります。
- デザインツール(Figma)
前述の通り、UIデザインの現場ではFigmaが主流です。
ブラウザベースで共同編集ができ、動作が軽いFigmaを使えないと、デザインデータの受け渡しすらスムーズにいきません。
- Sass(SCSS)などのCSSプリプロセッサ
生のCSSをそのまま書く現場は減っています。
効率的に記述できるSassなどの知識がないと、既存のプロジェクトコードが読めない可能性があります。
これらのスキルは、独学で補うことが絶対条件となります。
訓練校の授業だけで満足していては、いつまでたっても「現場を知らない初心者」のままです。
未経験からWebデザイナーになるための戦略:準備編
厳しい現実ばかりをお伝えしましたが、ここからはどうすればその壁を突破できるか、具体的な戦略の話に移ります。
まずは、訓練校に入る前、あるいは通い始めてすぐに実践すべき「準備」についてです。

1. 訓練校が始まる前に「Progate」を2周する
もし入校までに時間があるなら、あるいは現在通っているなら、今すぐにオンライン学習サービス「Progate」や「ドットインストール」を始めてください。
訓練校の授業スピードは、初心者に合わせているため非常に遅いか、逆についていけない人を置いていくかのどちらかです。
事前にHTML/CSSの基礎(道場コースレベル)を理解しておけば、授業は「復習」の場となり、余裕を持って講師に質問ができるようになります。
「授業で初めてHTMLタグを見る」という状態は避けてください。
スタートダッシュで躓くと、その後のモチベーション維持が困難になります。
2. Adobe Creative Cloudを自分でも契約する
訓練校のPCにはAdobeソフトが入っていますが、学校でしか触れないのでは練習量が圧倒的に足りません。
学生割引(アカデミック版)が適用される場合もありますし、訓練校生向けの割引プランがあることもあります。
自宅のPC環境を整え、「家に帰ってからが本当の勉強時間」という環境を作ることが、プロへの最短ルートです。
PhotoshopやIllustratorは、毎日触らなければ手になじみません。
ショートカットキーを無意識に押せるレベルまで反復練習する必要があります。
3. 「良いデザイン」を浴びるように見る
Webデザイナーになるためには、センスよりも「引き出しの数」が重要です。
PinterestやSANKOU!などのギャラリーサイトを毎日チェックし、「なぜこのサイトは見やすいのか?」「なぜこの配色なのか?」を言語化する癖をつけてください。
最初は「なんとなく綺麗」で構いませんが、徐々に「余白が広いから高級感がある」「フォントが明朝体だから信頼感がある」といった分析的な視点を養いましょう。
これが後の面接での「デザインの説明力」に直結します。
採用担当者が即採用したくなるポートフォリオ作成術
職業訓練生が就職できるかどうかは、9割がポートフォリオ(作品集)で決まります。
ここで他の訓練生と差別化できなければ、面接にすら進めません。
では、どのようなポートフォリオを作れば良いのでしょうか。

テンプレートを使わず、自分でコーディングする
WixやJimdo、あるいは無料のポートフォリオ作成サービスを使うのは避けた方が無難です。
Webデザイナー志望であれば、「ポートフォリオサイトそのものがあなたの作品」と見なされます。
自分でHTML/CSS/JavaScriptを書いて構築することで、「デザインだけでなく、コーディングもしっかりできる」という強力なアピールになります。
レスポンシブ対応はもちろん、ハンバーガーメニューの挙動や、画像の読み込み速度などにも気を配りましょう。
作品数は「質」を重視して3〜5つに絞る
「数が多い方が熱意が伝わる」と思って、クオリティの低いバナーや練習課題を大量に載せるのは逆効果です。
採用担当者は忙しいため、全ての作品を見る時間はありません。
自信のある3〜5作品に絞り、その代わり1つ1つの作品についての解説(ケーススタディ)を充実させてください。
デザインの「思考プロセス」を言語化する
これが最も重要です。
綺麗なデザイン画像を貼るだけでは不十分です。
採用担当者が見たいのは「見た目の綺麗さ」以上に「課題解決のプロセス」です。
以下の項目を必ず作品詳細ページに記載してください。
- ターゲット設定:誰に向けたサイトなのか(例:30代の働く女性、オーガニック志向)
- 目的(ゴール):サイトを通じて何を達成したいか(例:来店予約の増加、ブランド認知)
- デザインの意図:ターゲットに合わせてなぜその色、フォント、レイアウトを選んだのか。
- 制作時間と担当範囲:企画から実装までどのくらいかかったか、どこを自分が担当したか。
「なんとなく青が好きだから青にしました」ではなく、「信頼感を与えたい企業のコーポレートサイトなので、誠実さを表すネイビーをメインカラーに採用しました」と言えるかどうかが、プロとアマチュアの分かれ目です。
訓練校の課題以外に「オリジナル作品」を入れる
訓練校の課題作品は、クラス全員が似たようなものを作ります。
これだけでは差別化できません。
必ずオリジナルのWebサイトを1つ以上制作してください。
題材はなんでも構いません。
- 友人の趣味のブログデザイン
- 行きつけのカフェの架空リニューアルサイト
- 自分の好きな映画の紹介サイト
「自分で企画し、設計し、作り上げた」という実績が、受動的ではない能動的な姿勢を証明します。
面接対策:職業訓練校生が必ず聞かれる質問と回答例
ポートフォリオが通れば、次は面接です。
職業訓練校出身者に対しては、特有の質問が投げかけられます。
ネガティブな印象を与えずに、ポジティブな意欲に変換して答えるテクニックが必要です。

- 「なぜ職業訓練校に通おうと思ったのですか?」
Webデザインに強く惹かれ独学を始めましたが、体系的に基礎を固め、最短でプロレベルに到達したいと考えたためです。
また、チーム制作などのカリキュラムを通じて実務に近い経験を積みたいと考え志望しました。
ポイント:制度のメリット(金銭面)ではなく、学習意欲とキャリアへの真剣度を強調します。
- 「実務経験がありませんが、即戦力になれますか?」
現時点では実務経験者の方にスキル面で及ばない部分があることは自覚しています。
しかし、訓練校での学習に加え、自宅では○○や××といったモダンな技術も独学しており、1日でも早く戦力になれるよう努力しています。
入社後は、御社の○○という業務において、私の△△という強み(前職の経験など)を活かして貢献したいと考えています。
ポイント:不足を認めつつ、それを補う具体的な行動(独学)と前職のスキルを掛け合わせて貢献できることを伝えます。
- 「前職を辞めた理由と、空白期間について」
職業訓練期間は履歴書上で空白期間に見えることがありますが、前職の退職理由はネガティブなものではなく「Webデザイナーという新しい目標に向かうための前向きな決断」であったことを伝えましょう。
訓練期間中は「ただ学校に通っていた」だけでなく、毎日○時間の自習を行いポートフォリオ制作に没頭していたなど、空白期間が密度の濃い研鑽の期間であったことをアピールしてください。
ポイント:前向きな理由と具体的な学習・制作内容を示して空白期間の価値を証明します。
就職活動の裏ワザ:訓練校の求人票以外もフル活用せよ
多くの訓練生は、ハローワークにある求人票や、訓練校に来る求人だけで就職活動を完結させようとします。
しかし、これは非常にもったいないことです。
Web・IT業界の求人の多くは、ハローワーク以外の場所に存在します。
1. Web特化型のエージェントと求人サイトを使う
ハローワークの求人は、無料で掲載できるため、採用予算のない企業や、質の低いブラック企業が含まれている可能性があります。
一方で、Web業界に特化した求人サイト(Green, Wantedly, Find Job!など)は、モダンな開発環境を持つ企業が多く掲載されています。
- Wantedly: : 「話を聞きに行きたい」というカジュアルな面談からスタートできるため、未経験者でもカルチャーマッチで採用されるチャンスがあります。プロフィールを充実させ、ポートフォリオのリンクを貼っておきましょう。
- Green: : IT/Web業界に強く、未経験可の求人も検索しやすいです。「気になる」を送ることで企業からアプローチが来ることもあります。
2. SNS(Twitter/X)で就職活動をする
Web業界、特にデザイナーやエンジニアの界隈はTwitter(X)での活動が活発です。
「#Webデザイン勉強中」「#駆け出しWebデザイナーと繋がりたい」といったハッシュタグを活用し、日々の学習記録や制作物を発信しましょう。
継続的に質の高いアウトプットをしていると、企業の採用担当者や、フリーランスのデザイナーから「うちで手伝いませんか?」「ポートフォリオ見てみませんか?」と声がかかることが実際にあります。
これを「ソーシャルリクルーティング」と呼びます。
3. クラウドソーシングで「実務実績」を作ってしまう
就職活動と並行して、クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどで、簡単な案件を受注してしまうのも一つの手です。
最初は「バナー制作 1点 1,000円」などの安価な案件でも構いません。
実際にクライアントとやり取りし、納品してお金を頂いた経験は、立派な「実務経験」となります。
履歴書に「フリーランスとして受注経験あり」と書けるだけで、他の訓練生とは桁違いの評価を得られます。
もしWebデザイナーになれなかったら?キャリアのピボット戦略
ここまで努力しても、どうしてもWebデザイナーとしての内定が出ない場合もあります。
また、学習を進める中で「自分はデザインよりもコーディングが好きかも」「企画の方が向いているかも」と気づくこともあるでしょう。
Webデザイナー「一本」に固執せず、視野を広げることで、Web業界への入り口は見つかります。
1. ECサイト運営(ネットショップ担当)
自社でネットショップを運営している企業の担当者です。
商品の登録、バナー作成、特集ページの更新など、Webデザインのスキルが直結します。
Web制作会社ほど高いデザインスキルは求められないことが多く、未経験からでも採用されやすい職種です。
ここでマーケティングや運営の経験を積みながら、デザインスキルを磨くのも賢い戦略です。
2. Webディレクター・アシスタント
デザインを作るのではなく、進行管理や企画を行う職種です。
訓練校で学んだWebの基礎知識があれば、エンジニアやデザイナーとの会話がスムーズにできるため、重宝されます。
特に、営業経験やマネジメント経験がある社会人経験者におすすめです。
ディレクターとして業界に入り、副業でデザインを続けるという道もあります。
3. テスター・デバッガーからスタート
Webサイトやアプリの動作確認を行う仕事です。
デザインとは距離がありますが、IT業界の空気に触れ、開発の裏側を知ることができます。
ここからQAエンジニアや、フロントエンドエンジニアへステップアップする人もいます。
まとめ
職業訓練校のWebデザインコースから就職することは、決して楽な道のりではありません。
「学校に通えば就職できる」という甘い考えは捨ててください。
現実は、スキルの浅さ、実務経験の壁、激しい競争率との戦いです。
しかし、今回解説した以下の戦略を徹底すれば、道は必ず開けます。
- 訓練校のカリキュラムに依存せず、プラスアルファの自習(Figma, Git等)をする。
- ポートフォリオは「思考プロセス」を言語化し、テンプレートを使わず自作する。
- 面接では「自走力」と「ポテンシャル」を具体的な行動量で証明する。
- ハローワークだけでなく、Web特化媒体やSNS、クラウドソーシングを活用する。
Webデザインは、学歴や経歴に関係なく、「今、何が作れるか」で評価される実力主義の世界です。
それは厳しい反面、誰にでもチャンスがあるということでもあります。
職業訓練校という環境を最大限に利用し(給付金をもらいながら学べるのは最強のメリットです)、その上で「自分はプロになるんだ」という強い意志を持って、今日から行動を開始してください。
あなたのWebデザイナーとしてのキャリアが、ここから始まることを応援しています。
