ライブコーディング面接は、技術力だけでなく思考プロセス・コミュニケーション・本番耐性まで一度に見られる場です。
そのため、コーディング力があっても、準備不足やちょっとしたミスで落ちてしまうことがあります。
本記事では、「ライブコーディング面接で落ちない」ための具体的なコツを10個に整理し、本番前にそのまま使えるチェックリストとして解説します。
- ライブコーディング面接で見られている3つのポイント
- コツ1: 最初の5分で「問題の解像度」をそろえる
- コツ2: 「頭の中」ではなく「口の中」で考える
- コツ3: まずは「動く最小解」を出してから最適化する
- コツ4: 手元のテンプレート(型)をいくつか用意しておく
- コツ5: 変数名・関数名で「読みやすさ」を一気に底上げする
- コツ6: テストケースを「声に出して」設計する
- コツ7: 詰まったときの「リカバリー台本」を決めておく
- コツ8: 使用言語の「標準ライブラリ」をおさらいしておく
- コツ9: 実際の環境を想定した「模擬ライブ」を最低3回やる
- コツ10: 本番直前は「知識の詰め込み」より「メンタルの安定」を優先する
- 本番前に使える「10項目チェックリスト」
- まとめ
ライブコーディング面接で見られている3つのポイント

ライブコーディング面接では、単に「正解を出すかどうか」ではなく、技術力・思考プロセス・コミュニケーションの3つが総合的に評価されます。
つまり、コードを完璧に書き切れなくても、途中までの進め方や他者と協調して進める姿勢が伝われば、十分に評価されるケースも多いです。
逆に言えば、コーディング力に自信がある人ほど、説明不足や沈黙が長いことが原因で落ちることもあります。
本記事の10個のコツは、この3つをバランスよくアピールするための実践的なポイントに絞っています。
コツ1: 最初の5分で「問題の解像度」をそろえる

ライブコーディングでつまずく大きな理由の1つは、「問題の前提を勘違いしたままコーディングを始めてしまうこと」です。
最初の数分で、以下のような確認を口頭で行うだけで、齟齬による失点を大きく減らせます。
まず、問題文を読んだあとに、自分の理解を簡潔に言い換えます。
例えば「つまり、入力として整数の配列が来て、その中から重複を除いたソート済み配列を返す、という理解で合っていますか?」のように確認します。
これだけで、要件の取り違えや余計な実装を防げます。
次に、制約条件を確認します。
入力サイズの上限、時間・空間計算量の目安、使用可能なライブラリ、例外的なケース(空配列、nullなど)をどう扱うか、といった点です。
こうした質問は、「現実の開発で要件を詰める力」としても評価されます。
最後に、「まずは動くシンプルな解を作り、その後で最適化を検討する進め方でよいですか?」と進め方を確認しておくと、面接官との期待値を揃えやすくなります。
コツ2: 「頭の中」ではなく「口の中」で考える

ライブコーディングでは、思考プロセスを「見える化」することが重要です。
なぜなら、面接官はあなたの頭の中を読むことができないからです。
黙々とコードを書いていると、たとえ正解に近づいていても、「何も考えずに書いているのでは?」と誤解される可能性があります。
具体的には、次のような「独り言」を意識的に口に出すとよいでしょう。
- まず、素直に書くとしたらこういう実装になりそうです。
- 時間計算量はおそらく O(n^2) くらいになります。
- ここはハッシュマップを使えば、平均的には O(1) で取れそうです。
- コーナーケースとして、空配列の場合を先に処理しておきます。
このように途中の判断理由や選択肢を言語化しておくと、仮に行き詰まっても「ここまでは妥当な進め方だった」と面接官に伝わります。
結果として、コードが書き切れなくても落ちにくくなるのがポイントです。
コツ3: まずは「動く最小解」を出してから最適化する

ライブコーディングでありがちな落とし穴が、最初から最適解を狙いにいって時間切れになるパターンです。
面接では、まず「正しく動くコードが書けるかどうか」が大前提として見られるため、最初のゴールは「正しさ重視の単純な解」に置きましょう。
例えば、配列から2つの要素のペアを探す問題であれば、最初は二重ループで全探索し、その後でハッシュマップを使った線形時間の解に改善する、という2段階で進めるイメージです。
コードとしても、最初の単純解を書いたうえで、コメントで// naive solution、続けて// optimized solutionと分けて実装すると、思考の整理が伝わりやすくなります。
この進め方にはもう1つメリットがあります。
バグの切り分けがしやすくなることです。
単純解と最適解で結果を比較すれば、ロジックの差分からバグを素早く発見できます。
面接中にデバッグで詰まらないためにも、「まずは動く解」→「あとで賢くする」の順番は徹底しておくと安心です。
コツ4: 手元のテンプレート(型)をいくつか用意しておく

面接問題の多くは、典型的な「型」に落とし込むことができます。
事前にいくつかのテンプレートを体に染み込ませておくと、本番でゼロから考える範囲を狭められます。
代表的なものを挙げると、次のようなカテゴリです。
- 配列・文字列: スライディングウィンドウ、2ポインタ、頻度カウント
- 探索系: DFS、BFS、バックトラッキング
- 探索効率化: 二分探索、優先度付きキュー
- 集合操作: ハッシュセット、ハッシュマップ
大事なのは、「コードを丸暗記する」のではなく「どんな問題にこの型がハマるか」を理解しておくことです。
例えば、条件を満たす連続区間を求める問題がきたら、「これはスライディングウィンドウで解けないか?」と候補をすぐに思い出せるかどうかが勝負になります。
本番前には、よく使う型について、自分なりの最小コードスニペットを1回手で書いておくとよいでしょう。
それだけで「思い出すまでの時間」が短くなり、ライブでの負荷が大きく下がります。
コツ5: 変数名・関数名で「読みやすさ」を一気に底上げする

ライブコーディングでは、時間が限られているため、つい変数名を適当にしてしまいがちです。
しかし、面接官は「他人のコードを読むプロ」です。
数分眺めてすぐに意図が伝わるコードは、それだけで評価が上がります。
例えば、配列の左右のインデックスを扱うときにiやjではなくleft、rightと書くだけで、ロジックが一目で伝わります。
また、真偽値の変数はisFound、hasDuplicateのように「質問に答える形」の名前にしておくと、条件式も読みやすくなります。
関数名についても同様で、「何をするのか」が一言で伝わる命名を意識しましょう。
例えばcheckではなくisValidPassword、calcではなくcalculateAverageScoreといった具合です。
命名に数秒かけるだけで、後のデバッグや説明が格段に楽になります。
コツ6: テストケースを「声に出して」設計する

ライブコーディングでは、テストを書く時間が十分にとれないことも多いですが、だからこそテスト思考をアピールするチャンスでもあります。
コードを書いたあとに少し沈黙して手元で試すのではなく、どのケースをテストするのかを口に出してから試すと評価されやすくなります。
例えば次のように進めるとよいでしょう。
- まずはシンプルなケースとして、[1, 2, 3] を入力して動作を確認します。
- 次に、境界値として空配列 [] を試します。
- 同じ値が複数含まれる [1, 1, 2] もチェックしておきます。
- もしマイナス値が来る可能性があれば、そのケースも確認したいです。
このようにテスト観点を言語化しておくと、「品質を意識して開発できる人」としての印象が強まります。
時間が許せば、簡単なアサーションを1つだけでもコードに残しておくと、プロ意識が伝わりやすくなります。
コツ7: 詰まったときの「リカバリー台本」を決めておく

どれだけ準備をしても、本番で必ず何かしらは詰まります。
重要なのは「詰まらないこと」ではなく「詰まったときの振る舞い」です。
ここで慌てて沈黙してしまうと、面接官からは「一緒に問題解決を進めづらい人」という印象を持たれてしまいます。
あらかじめ、次のような「リカバリー台本」を用意しておくと安心です。
- 状況を言語化する
「今この部分でロジックがうまく整理できていません。想定しているアプローチは2つあります。」 - 問題を分解する
「まず、AができればBは簡単に実装できます。いまつまずいているのはAの部分です。」 - 面接官に相談する
「Aについて、制約条件をもう少し教えていただけますか? 例えば〇〇を仮定してもよいでしょうか。」
このように「困っていることを共有し、助けを求める」姿勢は、実際のチーム開発でも非常に重要です。
完璧を目指すよりも、協力して前に進もうとするスタンスを見せたほうが、結果として評価につながりやすくなります。
コツ8: 使用言語の「標準ライブラリ」をおさらいしておく

ライブコーディングでは、基本的な標準ライブラリを知らないと、それだけで大きなタイムロスになります。
ソートや文字列操作、コレクション操作など、本来一行で書ける処理を10行かけて実装していると、面接官としても不安になります。
本番前には、自分が使う言語の「標準ライブラリでよく使うもの」をざっと復習しておきましょう。
例えば以下のようなものです。
- ソート:
sort()、sorted()、比較関数の指定方法 - コレクション: リスト/配列、セット、マップ/ディクショナリの基本操作
- 文字列: 分割、連結、トリム、検索、置換
- ヘルパー: 最大値・最小値、合計、カウンタやデフォルト辞書
ここで大事なのは、「何ができるか」をざっくり把握しておくことです。
詳細な引数は、本番でドキュメントを確認できる環境であれば、その場で調べても構いません(事前に、面接でのドキュメント閲覧可否は確認しておきましょう)。
車輪の再発明を避けて、考えるべき本質的な部分に時間を使えるようにしておくことが目的です。
コツ9: 実際の環境を想定した「模擬ライブ」を最低3回やる

多くの候補者がやりがちな失敗は、「オンラインジャッジで問題を解いて終わり」にしてしまうことです。
ライブコーディング面接では、他人に見られながら、話しながらコードを書くという独特の緊張感があります。
これに慣れていないと、実力の半分も出せないことがあります。
本番前に最低3回は、次のような条件で模擬ライブをしてみましょう。
- 実際に使う予定の会議ツール(Zoom、Google Meetなど)を使う
- 画面共有をオンにして、手元のエディタまたはコード実行環境を見せる
- 30〜45分のタイマーをセットして、1問または2問を解く
- 可能であれば、友人や同僚に「面接官役」をしてもらい、説明しながら進める
これをやるだけで、カメラ越しに話しながらコーディングすることへの抵抗感がかなり薄れます。
また、自分がどの場面で詰まりやすいか、時間配分がどうか、といった「クセ」も把握できるため、直すべきポイントが明確になります。
コツ10: 本番直前は「知識の詰め込み」より「メンタルの安定」を優先する

面接直前になると、不安から新しいアルゴリズムやテクニックを詰め込みたくなるものですが、直前の30分〜1時間で実力が劇的に伸びることはほとんどありません。
それよりも、今持っている実力を落ち着いて出し切る準備に時間を使ったほうが、合格率は確実に上がります。
具体的には、次のような「本番前チェックリスト」を用意しておくことをおすすめします。
- 当日使う言語は決めてあるか
- エディタやIDE、フォントサイズは読みやすく設定してあるか
- マイクとカメラ、画面共有は問題なく動作するか
- 「最初の5分で確認すること」をメモに軽く目を通したか
- 深呼吸を数回して、姿勢を整えたか
このように「環境」と「心の準備」を整えることで、本来のコーディング力を発揮しやすくなります。
特にオンライン面接の場合、通信環境や周囲のノイズなども事前に確認しておくと、当日のトラブルをかなり減らせます。
本番前に使える「10項目チェックリスト」
ここまで解説してきた10のコツを、そのまま本番前に見返せるチェックリストとしてまとめます。
面接当日は、以下を一読してから臨むと安心です。
- 問題を読み上げ、自分の言葉で要件と制約を確認するイメージはできているか
- 考え方や判断を、適度に口に出しながら進める意識を持てているか
- まずは動く単純解を書き、その後に最適化する2段階構成で進めるつもりか
- 自分の得意な「型」(二分探索、DFS/BFS、スライディングウィンドウなど)を思い出せるか
- 変数名・関数名を読みやすくする意識を、焦っても忘れない自信があるか
- 通常ケース・境界ケース・異常ケースを考える習慣が身についているか
- 詰まったときに、状況を説明して相談する台本を思い出せるか
- 使用言語の標準ライブラリ(ソート、コレクション、文字列)の使い方はおさらいしたか
- 本番に近い環境で、最低3回は模擬ライブを行ったか
- 直前は新しい知識の詰め込みではなく、環境・メンタルの準備を優先するつもりか
まとめ
ライブコーディング面接は、一見すると「アルゴリズムのテスト」に見えますが、実際には問題設定の理解力、思考プロセスの透明性、コミュニケーション力、そして本番での安定感までを含めた総合テストです。
完璧なコードを書くことよりも、「この人と一緒に問題を解決していきたい」と思ってもらえるかどうかが合否を分けます。
本記事で紹介した10のコツは、どれも特別な才能を必要とするものではありません。
事前の準備と小さな習慣の積み重ねで、誰でも身につけることができます。
ぜひ、チェックリストとして何度か見返しながら、自分なりのライブコーディングの「型」を作っていってください。
最後に大切なのは、「うまくやろう」と力みすぎず、普段どおりの自分のコーディングスタイルを、少しだけ丁寧に見せるという意識です。
そのための準備を、本番までの時間で一つひとつ積み上げていきましょう。
