C#はゲーム開発や業務システム、Webアプリなど幅広く使われる人気のプログラミング言語です。
名前は聞いたことがあっても、JavaやPythonとの違い、どんな場面で使われるのか、将来性はどうなのかが分かりにくいと感じる人も多いと思います。
この記事では、C#の特徴、Javaとの違い、できること、他言語との比較、将来性までを、初心者向けに順を追って丁寧に解説していきます。
C#とは？特徴とJavaとの違い
C#とは？初心者向けにわかりやすく解説
C#(シーシャープ)は、マイクロソフトが開発したオブジェクト指向型のプログラミング言語です。
WindowsアプリやWebサービス、スマホアプリ、ゲームなど、さまざまなソフトウェアを作ることができます。
C#は.NETという共通のプラットフォームの上で動作します。
.NETはライブラリやランタイム(実行環境)のセットで、開発者はゼロから全てを書かなくても、用意された機能を組み合わせて効率よく開発できます。
初心者にとっての特徴を整理すると、次のようになります。
- 文法が比較的きれいで読みやすい
- エラー検知や補完など、開発ツール(Visual Studioなど)が非常に強力
- Unityエンジンを使ったゲーム開発の標準言語
- Windowsとの相性が良く、企業システムでの利用も多い
「ゲームも業務アプリもWebもクラウドも1つの言語で触りたい」という人にとって、C#はとても相性の良い言語です。
C#とJavaの共通点
C#とJavaはしばしば比較される言語で、実は共通点が非常に多いです。
初心者から見ると「ほとんど同じに見える」と感じることもあるほどです。
主な共通点を、文章で整理して説明します。
まず、どちらもオブジェクト指向言語です。
プログラムを「クラス」と呼ばれる部品に分けて、そのクラスを組み合わせて設計していく考え方を採用しています。
このおかげで、大規模なシステムでも整理して作りやすくなります。
また、静的型付けという特徴も共通です。
これは、変数を宣言するときにintやstringなど、型を決めてから使うスタイルのことです。
コンパイル時に型エラーを検出しやすくなるため、実行前にバグを見つけやすいというメリットがあります。
さらに、どちらもガベージコレクションという自動メモリ管理機能を持っています。
メモリの確保と解放をプログラマが細かく手動で行う必要がなく、CやC++に比べるとメモリ管理の負担が小さくなっています。
構文もとても似ており、if文、for文、while文、classの書き方などはほぼ同じです。
そのため、どちらか1つをしっかり学べば、もう片方の言語も短期間で習得しやすいと言えます。
C#とJavaの主な違い
C#とJavaは似ている一方で、実際に使っていくと得意分野やエコシステムに違いがあります。
ここでは、初心者でもイメージしやすい観点に絞って説明します。
まず、開発元と背景が異なります。
C#はマイクロソフトが中心となって開発してきた言語で、WindowsやAzureとの連携が強みです。
一方Javaは、もともとSun Microsystems(現在はOracle)が開発し、プラットフォームに依存しない「一度書けばどこでも動く」思想を強く持っています。
次に、得意な分野の違いがあります。
C#はUnityによるゲーム開発の事実上の標準言語となっており、3Dゲームやインディーゲーム開発で非常に人気です。
Windowsデスクトップアプリや、.NETと組み合わせた企業向けシステム開発にもよく使われます。
一方、Javaは長年、大規模な業務システムやWebシステムのサーバーサイドで幅広く使われ、銀行や保険などの基幹システムでも多く採用されています。
機能面でも違いがあります。
C#は比較的新しい言語であり、新しい構文や機能を取り入れるスピードが速いです。
たとえば、ラムダ式やLINQ、非同期処理(async/await)などが、比較的早いタイミングから取り込まれてきました。
Javaも後からこれらの機能を取り入れていますが、互換性を重視するため変更は慎重で、導入時期が遅い特徴があります。
プラットフォームの扱いにも違いがあります。
昔のC#/.NETはWindows中心でしたが、現在は.NET 5以降でクロスプラットフォーム化が進み、LinuxやmacOSでも動作・開発できるようになっています。
ただし、Javaは最初からプラットフォーム非依存を強く意識して設計されており、この点では歴史があります。
C#とJavaの書き方の違い
ここでは、ごくシンプルな例を通じて、C#とJavaの書き方の違いを見てみます。
C#とJavaの「最小のサンプル」比較
まずは、コンソールに文字を表示するだけのプログラムを並べてみます。
// C# のサンプルプログラム
// ファイル名の一例: Program.cs
using System; // Consoleクラスを使うための名前空間
class Program
{
// アプリケーションのエントリポイント(Mainメソッド)
static void Main(string[] args)
{
Console.WriteLine("Hello, C#"); // コンソールに文字を表示
}
}// Java のサンプルプログラム
// ファイル名の一例: Main.java
public class Main {
// アプリケーションのエントリポイント(mainメソッド)
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, Java"); // コンソールに文字を表示
}
}このレベルだと、違いはほとんどありません。
C#はusing System;と書き、JavaはSystem.out.printlnを使うなど、名前の違いが中心です。
プロパティとgetter/setterの違い
次に、クラスのメンバーの扱い方の違いを見てみます。
C#にはプロパティという構文があり、Javaのgetter/setterを簡潔に書くことができます。
// C# のクラスとプロパティの例
public class Person
{
// 自動実装プロパティ
public string Name { get; set; } // getとsetをまとめて書ける
public int Age { get; set; }
// 読み取り専用プロパティ
public bool IsAdult
{
get { return Age >= 20; } // 条件付きのプロパティ
}
}// Java のクラスとgetter/setterの例
public class Person {
private String name;
private int age;
// getterとsetterを手動で書く必要がある(Java 17以前の典型例)
public String getName() {
return name;
}
public void setName(String name) {
this.name = name;
}
public int getAge() {
return age;
}
public void setAge(int age) {
this.age = age;
}
// 読み取り専用のメソッド
public boolean isAdult() {
return age >= 20;
}
}C#では、プロパティを使うことで「フィールド + getter/setter」のパターンを1行で表現できるため、クラス設計がすっきりしやすいです。
Javaも最近はレコードやLombokなどで簡略化できますが、言語仕様としてはC#の方が早くからサポートしていました。
C#とJavaのLINQとStream API
データの集計やフィルタリングに関して、C#にはLINQ(Language Integrated Query)という強力な仕組みがあります。
JavaにもStream APIがありますが、書き方に違いがあります。
// C# の LINQ の例
using System;
using System.Linq;
using System.Collections.Generic;
class Program
{
static void Main()
{
var numbers = new List<int> { 1, 2, 3, 4, 5 };
// 偶数だけを取り出して2倍し、合計を求める
int sum = numbers
.Where(n => n % 2 == 0) // 偶数だけに絞り込み
.Select(n => n * 2) // 2倍に変換
.Sum(); // 合計を計算
Console.WriteLine(sum); // 出力: 12
}
}// Java の Stream API の例
import java.util.Arrays;
import java.util.List;
public class Main {
public static void main(String[] args) {
List<Integer> numbers = Arrays.asList(1, 2, 3, 4, 5);
// 偶数だけを取り出して2倍し、合計を求める
int sum = numbers.stream()
.filter(n -> n % 2 == 0) // 偶数だけに絞り込み
.mapToInt(n -> n * 2) // 2倍に変換しintストリームへ
.sum(); // 合計を計算
System.out.println(sum); // 出力: 12
}
}どちらも似た発想ですが、C#のLINQはクエリ構文(擬似SQLのような構文)も持ち、コレクション操作を統一的に扱える点が特徴的です。
C#でできることと主な用途
C#で作れるもの一覧
C#は、1つの言語で本当にたくさんの種類のアプリケーションを作ることができます。
代表的なものを、用途と一緒に文章で紹介します。
まず、多くの人がイメージしやすいのがWindowsデスクトップアプリです。
ボタンやテキストボックスがある画面を作り、業務システムやツール、ユーティリティなどを作成できます。
次に、Unityを用いた2D・3Dゲーム開発があります。
スマホゲームからコンソールゲーム、PCゲームまで、C#はゲーム開発の現場で広く使われています。
特にインディーゲーム開発ではC# + Unityの組み合わせが非常に人気です。
また、WebアプリケーションのサーバーサイドもC#の得意分野です。
.NETを使えばREST APIやWebサービスを開発でき、フロントエンド(JavaScriptやTypeScript)と組み合わせて本格的なWebサービスを構築できます。
モバイル分野では、かつてはXamarin、現在は.NET MAUIを用いて、1つのC#コードからiOSとAndroidの両方に対応したアプリを作ることができます。
さらに、クラウド分野ではAzure FunctionsやWeb Appsなどと連携して、サーバーレスアプリやマイクロサービスを構築することもできます。
C#でのWindowsアプリ開発
C#はWindowsアプリ開発との相性が抜群です。
これは、C#を開発したマイクロソフト自身がWindowsを提供しているためで、Windows上で動くアプリケーションのためのライブラリやツールが非常に充実しているからです。
Windowsアプリ開発でよく使われる技術には、次のようなものがあります。
- Windows Forms(WinForms): 比較的古くからあるGUIフレームワークで、ドラッグ&ドロップで画面を作りやすい
- WPF(Windows Presentation Foundation): デザイン性が高く、XAMLというマークアップで画面を定義できる
- WinUI / Windows App SDK: より新しい世代のWindows向けUIフレームワーク
企業の社内向けシステムでは、「業務用の画面アプリ」がたくさん存在します。
たとえば、社員が毎日使う売上管理ツールや、倉庫の在庫管理システム、コールセンターのオペレータ画面などです。
こうしたアプリは、キーボード主体で素早く操作できることが求められるため、今でもWindowsデスクトップアプリとして開発されることが多く、そこでC#が活躍します。
簡単なC#のWindowsフォームアプリの例
ここでは、コンソールアプリではなく、Windowsフォームで簡単なメッセージボックスを表示するコードを示します。
実際にはVisual Studioのテンプレートを使うのが一般的ですが、仕組みのイメージとして見てください。
// 非常に簡略化したWindowsフォームアプリの例
// 実際にはプロジェクトテンプレートから作成するのが一般的です
using System;
using System.Windows.Forms; // Windowsフォーム用の名前空間
public class MyForm : Form
{
private Button button;
public MyForm()
{
// ボタンを生成
button = new Button();
button.Text = "クリック";
button.Left = 50;
button.Top = 50;
// クリックイベントにメソッドを登録
button.Click += (sender, e) =>
{
MessageBox.Show("ボタンがクリックされました");
};
// フォームにボタンを追加
Controls.Add(button);
// フォームのタイトルを設定
Text = "C# Windowsフォームのサンプル";
}
[STAThread]
public static void Main()
{
// アプリケーションを起動
Application.EnableVisualStyles();
Application.Run(new MyForm());
}
}(実行結果イメージ)
- 「C# Windowsフォームのサンプル」というタイトルのウィンドウが表示される
- ウィンドウ内に「クリック」と書かれたボタンが表示される
- ボタンをクリックすると「ボタンがクリックされました」というメッセージボックスが表示されるこのように、C#ではボタンなどのGUI部品をクラスとして扱い、イベント(クリックなど)に対して処理を記述するスタイルでWindowsアプリを開発していきます。
C#とUnityでのゲーム開発
ゲーム開発に興味がある人にとって、C#は非常に魅力的な言語です。
Unityというゲームエンジンでは、ゲーム内の挙動やロジックを記述する主要なスクリプト言語としてC#が採用されています。
Unityは、3D/2Dゲームの制作に必要な機能(物理エンジン、レンダリング、アニメーション、サウンドなど)をひとまとめにした開発環境です。
開発者はUnityエディタ上でオブジェクトを配置し、そのオブジェクトに対する動きやルールをC#のスクリプトで定義していきます。
UnityでのC#スクリプトのイメージ
次は、Unityでよく見る「一定の速度でオブジェクトを動かす」C#スクリプトの例です。
// Unityでよく使われるC#スクリプトの例
// プレイヤーオブジェクトを左右に動かすシンプルなスクリプト
using UnityEngine; // Unity専用のAPIを使うための名前空間
public class PlayerController : MonoBehaviour
{
public float speed = 5f; // 移動速度をインスペクタから調整できるようにする
// 毎フレーム呼び出されるメソッド
void Update()
{
// キーボードの左右入力を取得(A/Dキーや矢印キー)
float horizontal = Input.GetAxis("Horizontal");
// 入力に応じて移動量を計算
Vector3 movement = new Vector3(horizontal, 0, 0) * speed * Time.deltaTime;
// 現在位置に移動量を加算してオブジェクトを動かす
transform.position += movement;
}
}(実行結果イメージ)
- シーン上に配置されたプレイヤーオブジェクトにこのスクリプトをアタッチする
- ゲームを再生すると、左右キーの入力に合わせてプレイヤーが左右に移動する
- speedの値をUnityのインスペクタで変更すると、移動速度が変わるUnityではこのように、C#のスクリプトを「ゲーム内オブジェクトのふるまいを定義する部品」として使います。
ゲーム開発を通してC#を学ぶと、動きが目に見えるため、初心者でも挫折しにくいというメリットがあります。
C#によるWebアプリ開発
C#は、Webアプリケーションのサーバーサイド開発でも広く利用されています。
マイクロソフトが提供するASP.NET Coreというフレームワークを使うと、APIサーバーやWebアプリケーションを効率的に構築できます。
Webアプリ開発では、通常、ブラウザ側の画面部分はHTML/CSS/JavaScriptで作り、サーバー側の処理(ログイン、データの保存、ビジネスロジック)をC#で実装します。
簡単なASP.NET CoreのAPI例
ここでは、C#で書かれたとてもシンプルなWeb APIの例を見てみます。
実際にはコマンドでプロジェクトを作るのが一般的ですが、ここでは中身のイメージをつかむためのコードです。
// .NET 6以降の最小API(Minimal API)の例
// 非常に少ないコードでWeb APIを作成できるスタイル
using Microsoft.AspNetCore.Builder;
using Microsoft.AspNetCore.Http;
using Microsoft.Extensions.Hosting;
var builder = WebApplication.CreateBuilder(args);
var app = builder.Build();
// GET /hello にアクセスされたときの処理を定義
app.MapGet("/hello", () => "Hello from C# Web API");
// URLに名前を含めるルートパラメータの例
app.MapGet("/hello/{name}", (string name) =>
{
return $"Hello, {name}";
});
app.Run();(実行結果イメージ)
- アプリを実行するとローカルのWebサーバーが起動する
- ブラウザで http://localhost:5000/hello にアクセスすると
「Hello from C# Web API」という文字列が表示される
- http://localhost:5000/hello/Alice にアクセスすると
「Hello, Alice」と表示されるこのように、C#とASP.NET Coreを使うと、少ないコードでWeb APIを公開し、フロントエンドやスマホアプリから利用できるサーバーを作成できます。
C#によるクラウド・バックエンド開発
C#はクラウド時代にも適した言語です。
特にマイクロソフトのクラウドサービスであるAzureとの親和性が高く、バックエンド全体をC#で統一することも可能です。
たとえば、以下のような用途で使われます。
- REST APIサーバー(ASP.NET Core)
- 定期的なバッチ処理(日次集計、レポート作成など)
- Azure FunctionsやAWS Lambdaといったサーバーレス環境での関数
- キューやストレージと連携したイベント駆動型のバックエンド
こうした構成では、ビジネスロジックをC#に集約し、クラウドのマネージドサービス(データベース、ストレージなど)と組み合わせてシステム全体を構築します。
オンプレミス(自社サーバー)からクラウドへの移行案件でも、C# + .NETの資産が活かされるケースは多くあります。
C#の将来性と需要
C#の市場シェアと求人数の傾向
実際の統計は年ごとに変化しますが、さまざまな言語人気ランキングや求人サイトの傾向から、C#は長年上位に位置する安定した人気言語であることが分かります。
一般に、C#の需要は次のような要因で支えられています。
1つ目は、既存の企業システムです。
Windowsサーバー上で動く業務アプリケーションや、社内向けツール、デスクトップアプリなど、C#/.NETで構築されたシステムが多数存在します。
これらの保守や機能追加の需要が継続的にあります。
2つ目は、Unityによるゲーム開発需要です。
インディーから大手ゲーム会社まで、Unityを採用している企業は多く、ゲーム分野でC#のスキルを求める求人も多数存在します。
3つ目は、クラウド・Web分野での利用です。
ASP.NET Coreは高性能なWebフレームワークであり、クラウド時代に合わせたモダンな構成も取りやすくなっています。
特にマイクロソフト系技術を採用している企業では、C#エンジニアの需要が継続しています。
これらを総合すると、C#は「一部の分野に偏ったニッチな言語」ではなく、汎用性が高く、求人市場でも一定以上のボリュームを持つ言語と言えます。
企業がC#エンジニアに求めるスキル
企業がC#エンジニアに求めるのは、単にC#の文法だけではありません。
実務でよく見られる期待値を文章で整理すると、次のようなイメージになります。
まず基本として、C#言語の文法とオブジェクト指向の理解が重視されます。
クラス設計、インターフェース、継承、例外処理、非同期処理(async/await)など、実務で頻繁に使う要素をしっかり押さえていることが重要です。
次に、用途に応じたフレームワークやライブラリの知識が求められます。
業務システムならASP.NET CoreやWPF、Web API、エンティティフレームワーク(Entity Framework)など、ゲーム開発であればUnityやゲームエンジン固有のAPIへの理解が必要です。
また、ほとんどのシステムはデータベースを利用するため、SQLやRDBMS(例: SQL Server, PostgreSQL)の基礎知識も重要です。
テーブル設計や簡単なクエリの作成ができると、C#のコードとデータベースをつなぐ処理が理解しやすくなります。
さらに近年では、Gitによるバージョン管理、テストコードの作成、CI/CDパイプラインなど、開発プロセス全体への理解も評価されます。
C#は大規模開発で使われることが多いため、チーム開発の基本スキルが重要です。
.NETとC#の今後のアップデート動向
C#は単独で進化しているわけではなく、.NETプラットフォームとセットで継続的にアップデートされています。
.NET Frameworkから.NET Coreを経て、現在は.NET 5以降として統合・クロスプラットフォーム化が進みました。
C#そのものも、バージョンアップごとに新しい構文や機能が追加されています。
たとえば、近年では次のような機能が導入されています。
- async/awaitによる分かりやすい非同期処理
- パターンマッチングで条件分岐を簡潔に記述
- レコード型による不変データオブジェクトの簡単な定義
- null許容参照型によるヌル参照バグの抑制
これらの機能は、「安全で読みやすく、エラーの少ないコードを書く」ことを助けてくれます。
また、毎年のように新しい.NETのバージョンがリリースされており、性能向上や新機能の追加が続いています。
このような継続的なアップデートは、C#が短期的な流行ではなく、長く使われることを前提に進化し続けていることの証拠と言えます。
C#を学ぶメリット
C#を学ぶメリットは、単に「1つの言語が使えるようになる」以上のものがあります。
第一に、対応できる分野の広さがあります。
ゲーム開発、業務システム、Webアプリ、クラウド、デスクトップアプリなど、分野の垣根を越えて活用できるため、キャリアの選択肢が広がります。
第二に、モダンな言語機能を備えつつ、静的型付けで堅牢なコードを書ける点です。
これは、後から大規模開発に参加したり、チームで仕事をする際に大きな強みになります。
Javaや他の静的言語への橋渡しとしても有効です。
第三に、学習を支えるツールの充実があります。
Visual StudioやVisual Studio CodeなどのIDEは、コード補完、リファクタリング支援、デバッガなどを備えており、初心者でも試行錯誤しやすい環境を提供してくれます。
そして第四に、長期的な将来性です。
.NETとC#はマイクロソフトによって継続的にメンテナンス・拡張されており、業務システムの現場でも使われ続けています。
短期流行のスクリプト言語とは異なり、中長期的なキャリアの軸にしやすい言語だと言えるでしょう。
C#と他言語との違いと選び方
C#とPythonの違い
C#とPythonはどちらも人気のある言語ですが、性質や得意分野が異なります。
C#は静的型付けでコンパイルされる言語です。
実行前に型チェックが行われ、エラーを早期に検出しやすい特徴があります。
業務システムや大規模なアプリケーションでも安心して使えるように設計されています。
一方Pythonは動的型付けのスクリプト言語で、コードが短く書けて試行錯誤がしやすい反面、型の不一致などが実行時まで分からないこともあります。
データ分析や機械学習、スクレイピング、簡単な自動化スクリプトなどに広く使われています。
学習のしやすさという観点では、Pythonの方が文法がシンプルで、コード量が少なく済むため、はじめのハードルは低く感じる人が多いです。
一方、C#は静的型やクラス設計を早い段階から意識するため、「しっかりとしたプログラミングの基礎」を身につけやすいというメリットがあります。
得意分野で比較すると、C#はUnityによるゲーム開発やWindows業務アプリ、Web/クラウドバックエンドなどで強みを発揮し、Pythonはデータサイエンス、AI、スクリプト用途でよく使われます。
やりたいことに応じて、どちらを先に学ぶかを決めると良いでしょう。
C#とJavaScriptの違い
C#とJavaScriptは、しばしば同じWebシステムの中で役割分担をする言語です。
C#は主にサーバーサイド(バックエンド)で使われ、データ処理やビジネスロジック、データベースアクセスなどを担当します。
一方、JavaScriptはブラウザで動作し、画面表示やユーザー操作へのリアルタイムな反応を担当します。
技術的な性質としては、C#は静的型付け、JavaScriptは動的型付けという大きな違いがあります。
また、C#はコンパイルして実行する前提ですが、JavaScriptはブラウザが直接実行するスクリプト言語です。
近年は、TypeScript(型付きのJavaScript)やNode.js(サーバーサイドJavaScript)が広まったため、サーバーサイドをJavaScript系で書く選択肢も増えました。
それでも、C#はWindowsや. NETとの統合、エンタープライズ向けサポートなどの面で強みがあり、特にマイクロソフト技術スタックを採用する企業で重視されています。
Web開発を目指す人は、「バックエンドはC#、フロントエンドはJavaScript(やTypeScript)」という組み合わせを学ぶことで、現場に近いスキルセットを得ることができます。
C#とC++の違い
C#とC++は名前が似ていてどちらもC言語系ですが、実際には目的や設計思想が大きく異なります。
C#は、メモリ管理をガベージコレクションに任せることで、開発者がロジックに集中できる高水準の言語として設計されています。
ポインタ操作も制限されており、安全性を重視しています。
一方C++は、メモリやパフォーマンスを細かく制御できる低レベル寄りの言語で、ゲームエンジン本体や組み込みシステム、リアルタイム性がシビアな分野で活躍します。
その代わり、メモリ解放やオブジェクトの寿命管理など、プログラマが注意すべき点が増えます。
性能面ではC++が有利な場面が多いですが、C#もJITコンパイルや最適化が進み、業務システムや一般的なWeb/デスクトップアプリでは十分な速度を発揮します。
「開発効率と安全性を取りたいならC#」「最高性能と低レベル制御が必要ならC++」と覚えておくとイメージしやすいでしょう。
初心者はC#から始めるべきか？言語選びのポイント
プログラミング初心者が最初に学ぶ言語としてC#はどうか、という問いに対しては、「かなり有力な選択肢」と言えます。
ただし、最適解は人によって異なるため、いくつかの観点から考えると分かりやすくなります。
まず「やりたいこと」です。
Unityでゲームを作りたい、Windows向けの業務アプリやツールを作りたい、.NETを使ったWebバックエンドに興味がある、といった場合はC#を最初に選ぶメリットが大きいです。
逆に、機械学習やデータ分析がメインの目的ならPythonから始めるのも自然です。
次に「学びやすさ」です。
C#はJavaなどに比べて記述が簡潔になりつつ、静的型付けであるため、プログラミングの基本を体系的に学びやすい言語です。
Visual StudioなどのIDEが初心者を強力にサポートしてくれる点も魅力です。
最後に「将来性とキャリア」です。
C#は長年使われてきており、今後もしばらくは企業システムやゲーム、Webバックエンドで使われ続けると考えられます。
C#で身につけたオブジェクト指向や型の考え方は、JavaやTypeScript、Kotlinなど他言語にも応用しやすく、キャリアの土台としても役立ちます。
総合的に見ると、「厳密さとモダンさのバランスが取れた、汎用的な最初の1言語」として、C#は非常におすすめできます。
ただし、最終的には自分がワクワクできる分野に近い言語を選ぶことが、継続と成長の近道です。
まとめ
C#は、マイクロソフトが開発したオブジェクト指向の汎用プログラミング言語であり、Javaと多くの共通点を持ちながらも、Unityによるゲーム開発やWindowsアプリ、.NETによるWeb・クラウド開発など幅広い分野で活躍しています。
静的型付けと豊富な言語機能により、堅牢で読みやすいコードを書きやすく、学習を支えるIDEやフレームワークも充実しています。
PythonやJavaScript、C++と比較してもバランスの良い特性を持ち、長期的なキャリアの軸にしやすい「最初の1言語」として十分に有力な選択肢と言えるでしょう。
