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これだけ覚えるpipコマンド10選(install,list,upgrade,uninstall)

Pythonで便利な外部ライブラリ(パッケージ)を使うなら、管理ツールの基本であるpipを確実に使いこなすことが近道です。

本記事では初心者が最短で実務に使えるように、よく使うpipコマンド10個に絞って、使い方と注意点、実行例と出力例まで丁寧に解説します。

pipとは?Pythonの外部ライブラリを管理する基本

pipの役割とパッケージ管理の流れ

pipはPython公式のパッケージ管理ツールで、Python Package Index(略称PyPI)から外部ライブラリをダウンロードし、依存関係も含めてインストール・アップグレード・アンインストールを行います。

Pythonを学び始めたら、最初に身につけるべきツールの1つです。

パッケージとは

外部ライブラリは他者が公開している便利なコードのまとまりで、requests(HTTPクライアント)、numpy(数値計算)、pandas(データ解析)などが代表例です。

pipはこれらをPyPIから取得し、ローカルの環境に配置します。

基本の流れ

プロジェクトで外部ライブラリを使う流れは大まかに以下です。

文章で把握しておくと迷いません。

  • 使いたいライブラリを決める
  • 仮想環境を用意する(例: python -m venv .venv)
  • pipでインストールする(例: python -m pip install requests)
  • Pythonコードからimportして使う
  • 必要に応じてアップグレードやアンインストールを行う

ポイントは、プロジェクトごとに仮想環境を分けてインストールすることです。

これによりバージョン衝突を避けられます(仮想環境の詳細は別記事で扱います)。

インストールの確認

インストール後はPythonからバージョンを確認できます。

Python
# サンプル: requests が使えるかとバージョンを確認
import requests
print("requests version:", requests.__version__)
実行結果
requests version: 2.32.3

安全な実行方法(python -m pip)

最も重要な原則は、pipをpython -m pip経由で実行することです。

これは「今使っているPythonインタプリタに対してpipを実行する」という意味で、複数のPythonが入っている環境での取り違えを防ぎます。

OS別の安全な呼び出しは次の通りです。

Shell
# macOS/Linux の例
python3 -m pip --version   # 使っているpipのバージョンと場所を確認
which python3              # どのPythonかを確認
which pip                  # 参考: システムのpipは別物の可能性

# Windows (PowerShell) の例
py -m pip --version        # Windowsは "py" ランチャー経由が安全
where.exe py
where.exe pip
実行結果
pip 24.2 from /path/to/.venv/lib/python3.11/site-packages/pip (python 3.11)
注意

システム全体に影響するsudo pipや、意図しないPythonに紐づくpip単体の実行は避けましょう。

仮想環境内でpython -m pipを使うのが最善です。

これだけ覚えるpipコマンド10選

最初に全体像を一覧で整理します。

以降で個別に詳しく解説します。

コマンド用途
pip install パッケージ名新規インストールpython -m pip install requests
pip install パッケージ名==バージョンバージョン固定でインストールpython -m pip install numpy==1.26.4
pip install -U パッケージ名既存のパッケージをアップグレードpython -m pip install -U requests
pip uninstall パッケージ名アンインストールpython -m pip uninstall requests
pip listインストール済み一覧python -m pip list
pip list –outdated更新可能の一覧python -m pip list --outdated
pip show パッケージ名詳細情報の表示python -m pip show pandas
pip check依存関係の不整合を確認python -m pip check
pip index versions パッケージ名利用可能バージョンの確認python -m pip index versions numpy
python -m pip install -U pippip本体のアップデートpython -m pip install -U pip

以降の例は仮想環境が有効であることを前提に、python -m pip形式で記載します。

pip install パッケージ名: インストール

用途

新しくパッケージを導入します。

依存関係も自動で一緒に入ります。

Shell
# HTTPクライアント requests をインストール
python -m pip install requests
実行結果
Collecting requests
  Downloading requests-2.32.3-py3-none-any.whl ...
Collecting certifi>=2017.4.17
Collecting charset-normalizer<4,>=2
Collecting idna<4,>=2.5
Collecting urllib3<3,>=1.21.1
Installing collected packages: certifi, idna, charset-normalizer, urllib3, requests
Successfully installed certifi-2024.7.4 charset-normalizer-3.3.2 idna-3.7 urllib3-2.2.2 requests-2.32.3

ヒント

ライブラリ名はPyPIの名前を使います。

インポート名と異なる場合があるため、公式ドキュメントで確認しましょう。

pip install パッケージ名==バージョン: バージョン指定

用途

特定のバージョンに固定してインストールします。

再現性の高い環境が必要な時に使います。

Shell
# numpy を 1.26.4 に固定してインストール
python -m pip install numpy==1.26.4
実行結果
Collecting numpy==1.26.4
  Downloading numpy-1.26.4-cp311-cp311-manylinux_2_17_x86_64.whl ...
Installing collected packages: numpy
Successfully installed numpy-1.26.4

ヒント

互換性のあるバージョン範囲(例: pandas>=2.2,<3.0)を指定することもできます。

複数パッケージを扱う場合はrequirements.txtの利用が便利です(別記事で解説)。

pip install -U パッケージ名: アップグレード

用途

既存のパッケージを最新(もしくは解決される最新互換版)に更新します。

--upgrade-Uの同義です。

Shell
# requests をアップグレード
python -m pip install -U requests
実行結果
Requirement already satisfied: requests in /path/to/.venv/lib/python3.11/site-packages (2.31.0)
Collecting requests
  Downloading requests-2.32.3-py3-none-any.whl ...
Installing collected packages: requests
Successfully installed requests-2.32.3

注意

大規模アップグレードは一旦テスト環境で確認しましょう。

破壊的変更が含まれる場合があります。

pip uninstall パッケージ名: アンインストール

用途

不要になったパッケージを削除します。

Shell
# requests をアンインストール
python -m pip uninstall requests
実行結果
Found existing installation: requests 2.32.3
Uninstalling requests-2.32.3:
  Would remove:
    /path/to/.venv/lib/python3.11/site-packages/requests/*
Proceed (Y/n)? y
  Successfully uninstalled requests-2.32.3

注意

他のライブラリの依存関係になっている場合は動作に影響します

不安な時は先にpython -m pip checkを実行しましょう。

pip list: インストール済み一覧

用途

現在インストール済みのライブラリの一覧とバージョンを確認します。

Shell
python -m pip list
実行結果
Package            Version
------------------ -------
numpy              1.26.4
pip                24.2
setuptools         70.0.0
wheel              0.43.0

ヒント

--format=jsonでJSON形式にもできます。

ツールとの連携時に便利です。

pip list –outdated: 更新可能パッケージの確認

用途

アップデート可能なパッケージを一覧表示します。

Shell
python -m pip list --outdated
実行結果
Package   Version Latest   Type
--------- ------- -------- -----
numpy     1.26.4  2.1.0    wheel
pip       24.1    24.2     wheel

ヒント

表示された名前をそのままinstall -Uに渡せます。

pip show パッケージ名: 詳細情報の表示

用途

特定パッケージのインストール場所、依存関係、ライセンス、ホームページURLなどの詳細を確認します。

Shell
python -m pip show pandas
実行結果
Name: pandas
Version: 2.2.2
Summary: Powerful data structures for data analysis, time series, and statistics
Home-page: https://pandas.pydata.org
Author: The Pandas Development Team
License: BSD-3-Clause
Location: /path/to/.venv/lib/python3.11/site-packages
Requires: numpy, python-dateutil, pytz, tzdata
Required-by: None

ヒント

トラブル時はLocationとRequiresが手がかりになります。

pip check: 依存関係の不整合を確認

用途

インストール済みライブラリ間の依存関係が壊れていないか検査します。

Shell
python -m pip check
実行結果
No broken requirements found.

ヒント

不整合が出たら、表示に従ってinstall -Uinstall パッケージ==バージョンで調整します。

pip index versions パッケージ名: 利用可能バージョンを確認

用途

PyPIに登録されている利用可能なバージョンを一覧表示します。

特定のバージョンに固定する前の下調べに便利です。

Shell
# numpy の利用可能バージョンを確認
python -m pip index versions numpy
実行結果
numpy (2.1.0)
Available versions: 2.1.0, 2.0.1, 2.0.0, 1.26.4, 1.26.3, 1.26.2, ...
  INSTALLED: 1.26.4

ヒント

pip indexは比較的新しいサブコマンドです。

古いpipで使えない場合は後述の方法でpip本体を更新してください。

python -m pip install -U pip: pip本体をアップデート

用途

pip自身を最新に更新します。

トラブル時はまずpipを最新化すると解決することが多いです。

Shell
# pip 本体をアップデート
python -m pip install -U pip
実行結果
Requirement already satisfied: pip in /path/to/.venv/lib/python3.11/site-packages (24.1)
Collecting pip
  Downloading pip-24.2-py3-none-any.whl ...
Installing collected packages: pip
Successfully installed pip-24.2

注意

システムPythonのpipをsudoで上書きしないように、仮想環境内で実行するか、どうしても必要な場合は--userオプションを検討します。

参考: どのPythonのpipを操作しているか確認

Shell
python -m pip --version
python -c "import sys; print(sys.executable)"
実行結果
pip 24.2 from /path/to/.venv/lib/python3.11/site-packages/pip (python 3.11)
/path/to/.venv/bin/python

まとめ

pipはPythonの外部ライブラリを安全かつ再現性高く管理するための基本ツールです。

まずは10個のコマンド(installuninstalllistshowcheckindex versions、そしてpip本体のアップデート)を確実に使えるようにしましょう。

特にpython -m pipで実行すること、仮想環境を使うことを習慣化すれば、環境の取り違えや依存関係の破綻を大きく減らせます。

次のステップとしては、requirements.txtで依存関係を記録し、チームや本番環境へ同じ環境を再現する運用に進むと、より実務的な開発に対応できるようになります。

Python 実践TIPS - 開発環境とツール
この記事を書いた人
エーテリア編集部
エーテリア編集部

人気のPythonを初めて学ぶ方向けに、文法の基本から小さな自動化まで、実際に手を動かして理解できる記事を書いています。

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