Pythonを使い始めたら、まず自分の環境でどのバージョンが動いているかを把握することが大切です。
バージョンによって使える機能や挙動が変わるため、トラブルの多くは最初の確認で防げます。
本記事ではWindowsとMacそれぞれでの確認方法に加えて、コードからの確認方法も丁寧に解説します。
Pythonのバージョン確認の基本
共通コマンドで確認 (python –version / -V)
もっとも基本的な確認方法は、ターミナル(コマンドライン)でpython --version
またはpython -V
を実行することです。
WindowsとMacのどちらでも使える一般的な方法ですが、Macではpython
が存在しない場合があります。
その場合は次節のpython3
を使用してください。
# 基本形(共通)
python --version
# 省略形
python -V
# 例(環境により異なります)
Python 3.13.6
代替コマンド (python3 –version)
特にmacOSでは、システムに標準で用意されているのはpython3
です。
そのためpython
ではなくpython3
で確認するのが確実です。
Linuxでも同様にpython3
が一般的です。
Windowsでもインストール方法によってはpython3
が使えることがあります。
# macOSやLinuxで確実に動く確認コマンド
python3 --version
Python 3.13.6
表示の読み方 (例: 3.13.6)
表示される3.13.6
のような形式は、メジャー.マイナー.マイクロ
を意味します。
互換性や機能追加の観点で読み解けると便利です。
部位 | 意味 | 例 | 備考 |
---|---|---|---|
メジャー | 大きな変更 | 3 | 2→3のような移行は互換性に注意 |
マイナー | 機能追加 | 13 | 3.12→3.13で新機能が増える |
マイクロ | バグ修正 | 6 | セキュリティ修正や不具合修正中心 |
例えば3.13.6
なら、3.13系の6つ目の修正版という意味になります。
pipのバージョンも確認 (python -m pip –version)
ライブラリ管理に使うpip
のバージョンも合わせて確認すると安心です。
実行中のPythonに紐づくpipを確実に使うため、python -m pip
の形式を使います。
# 実行中のPythonに紐づくpipを確認
python -m pip --version
pip 25.2 from C:\Python\Python313\Lib\site-packages\pip (python 3.13)
pip
単体の呼び出しは別のPython環境のpipを指す場合があります。
常にpython -m pip
の形式をおすすめします。
- 関連記事:これだけ覚えるpipコマンド10選
WindowsでPythonのバージョンを確認
pyランチャーで確認 (py –version)
WindowsにPythonをインストールすると、通常py
ランチャーが一緒に入ります。
py --version
で既定(デフォルト)のPythonバージョンを確認できます。
# 既定のPythonバージョンを表示
py --version
# 省略形
py -V
Python 3.13.6
pyランチャーは複数バージョンの切り替えにも対応しており、例えばpy -3.10
のようにバージョン指定で起動できます。
複数バージョンを一覧表示 (py -0p)
複数のPythonをインストールしている場合は、py -0p
(ゼロの後にp)でインストール済みのバージョンとパスを一覧できます。
# インストール済みPythonの一覧をパス付きで表示
py -0p
Installed Pythons found by py Launcher:
-3.13-64 C:\Python313\python.exe
-3.12-64 C:\Python312\python.exe
-3.11-64 C:\Python311\python.exe
一覧から使いたいバージョンがわかったら、py -3.11
のように指定して起動またはpy -3.11 -m pip --version
のようにそのバージョンのpipを確認できます。
# 例: 3.11系のpipを確認
py -3.11 -m pip --version
pip 23.2.1 from C:\Python311\Lib\site-packages\pip (python 3.11)
コマンドプロンプトとPowerShellで実行する
WindowsではコマンドプロンプトとPowerShellのどちらでも同じコマンドが使えます。
起動方法だけ覚えておくと良いでしょう。
コマンドプロンプトで実行
スタートメニューからcmd
と入力して起動し、前述のpython --version
やpy --version
を実行します。
# コマンドプロンプトでもPowerShellでも同じ
python --version
py --version
Python 3.13.6
Python 3.13.6
PowerShellで実行
スタートメニューからPowerShell
を起動し、同様にコマンドを実行します。
Windows Terminalをお使いの場合も同様です。
MacでPythonのバージョンを確認
ターミナルで確認 (python3 –version)
macOSではまずpython3 --version
を実行します。
LaunchpadやSpotlightからターミナル
を起動してください。
# macOSでの基本
python3 --version
Python 3.13.6
実行パスを確認 (which python3)
どのPythonが実行されているかを知るにはwhich
でパスを確認します。
/usr/bin/python3はApple提供、/opt/homebrew/bin/python3や/usr/local/bin/python3はHomebrewなどで入れたものが多いです。
# 実際に使われているpython3の場所を確認
which python3
/opt/homebrew/bin/python3
必要に応じてpython3 -m pip --version
で、そのPythonに対応したpipも確認しましょう。
python3 -m pip --version
pip 23.2.1 from /opt/homebrew/lib/python3.11/site-packages/pip (python 3.11)
pythonが見つからない時の対処 (python3を使う)
最近のmacOSではpython
コマンドが存在しないか、古いPythonに向いている場合があります。
その場合はpython
ではなくpython3
を使ってください。
将来的に混乱を避けるため、常にpython3
とpython3 -m pip
で統一するのが安全です。
# 望ましい呼び出し例
python3 --version
python3 -m pip --version
Python 3.11.6
pip 23.2.1 from ... (python 3.11)
コードからPythonのバージョンを確認
sys.versionで確認
実行中のPythonから直接バージョン文字列を取得できます。
詳細なビルド情報まで含まれるため、問い合わせやバグ報告時に役立ちます。
# version_text.py
# 実行中のPythonの詳細なバージョン文字列を表示します
import sys
print(sys.version) # 例: "3.11.6 (main, Aug 24 2023, 10:00:00) [Clang 14.0.3]"
3.13.6 (tags/v3.13.6:4e66535, Aug 6 2025, 14:36:00) [MSC v.1944 64 bit (AMD64)]
sys.version_infoで比較しやすく取得
バージョンによって分岐したい場合は、数値タプルのsys.version_info
が便利です。
条件分岐で確実に比較できます。
# version_check.py
# Python 3.10以上が必要なプログラムの例
import sys
required = (3, 10)
current = sys.version_info[:2] # (major, minor)
if current >= required:
print(f"OK: Running on Python {sys.version_info.major}.{sys.version_info.minor}")
else:
req_str = ".".join(map(str, required))
cur_str = f"{sys.version_info.major}.{sys.version_info.minor}"
print(f"NG: Required >= {req_str}, but current is {cur_str}")
OK: Running on Python 3.13
より細かく比較する場合はsys.version_info[:3]
でマイクロまで含めて扱えます。
platform.python_versionで簡易表示
分岐は不要で、単に表示したいだけならplatform.python_version()
が簡潔です。
# version_simple.py
# シンプルな "X.Y.Z" 形式のバージョンを取得
import platform
print(platform.python_version()) # 例: "3.11.6"
3.13.6
まとめ
本記事では、Windowsではpy
ランチャー、Macではpython3
が確実という要点を中心に、コマンドラインとコードの両面からPythonバージョンの確認方法を解説しました。
表示の読み方はメジャー.マイナー.マイクロ
で覚え、pipはpython -m pip --version
で紐づけを明確にするのが安全です。
まずは自分の環境でコマンドを実行し、どのPythonが動いているかを把握してから開発を進めてください。
これだけで多くのつまずきを事前に回避できます。