はじめてPythonを使う方に向けて、WindowsとmacOSでのインストール方法を丁寧に解説します。
公式サイト版を基本に、HomebrewやMicrosoft Storeの注意点も補足します。
最後に対話モードとスクリプトでのHello World確認、pipの初期設定まで、最低限やっておきたいことを一気に押さえます。
WindowsでのPythonインストール手順
Windowsでは公式サイト版を強くおすすめします。
公式インストーラはpipやIDLE、ランチャー(py)が同梱され、環境変数の設定も自動で行えます。
Microsoft Store版は手軽ですが、学習用途や拡張パッケージの導入で不意な制限や混乱を招く場合があるため、本記事では避けます。
公式サイトからのインストール方法
まずは公式サイトから最新版の安定版(3.x系)を取得します。
64bit版のインストーラを選ぶのが一般的です。
ブラウザでhttps://www.python.org/downloads/にアクセスします。
上部にある黄色いボタンから最新バージョンをダウンロードできます。

ダウンロードしたインストーラを実行します。
画面下部の「Add python.exe to PATH」に必ずチェックを入れます。

しばらくく待つとインストール完了です。
動作確認とpipの初期設定
インストール後はPowerShellを開き、以下の順に確認します。
Windowsではpy
ランチャー経由が確実です。
- バージョン確認
py --version
python --version # こちらでも表示されればPATH設定は完了です
Python 3.12.x
Python 3.12.x
- 関連記事:Pythonのバージョンを確認したい
環境パスが通っていたら以下のようになるはずです。

出ない場合は環境パスが通っていないかコンソールウィンドウの再起動が必要です。
「Add python.exe to PATH」にチェックを入れ忘れた場合は、再度インストーラーを実行して再インストールするのが手っ取り早くて確実でしょう。
- 対話モード(REPL)でHello World
py
起動後、次を入力します。
>>> print("Hello, World!")
>>> exit() # または Ctrl+Z の後に Enter
Hello, World!
- スクリプトファイルでHello World
エクスプローラーで作業用フォルダを作り、同フォルダでPowerShellを開いてファイルを作成します。
メモ帳で作る場合は拡張子が.py
になるよう「ファイルの種類」を「すべてのファイル」にして保存します。
例としてhello.py
を作ります。
# hello.py
# はじめてのPythonスクリプト。画面に文字を表示します。
print("Hello, World!") # 画面に文字を出力する
実行:
py hello.py
Hello, World!
- pipの確認と更新
py -m pip --version
py -m pip install --upgrade pip
pip 24.x from ... (python 3.12)
...
Successfully installed pip-24.x
なお、複数のPythonを使い分ける場合は、常にpy -3.12 -m pip ...
のようにバージョンを明示して実行すると取り違えを防げます。
コマンド早見表(Windows):
目的 | 例 |
---|---|
対話モード起動 | py |
スクリプト実行 | py script.py |
バージョン確認 | py --version または python --version |
pip実行 | py -m pip install package |
- 関連記事:すぐにコードを試せる「対話モード」の使い方
- 関連記事:スクリプトファイル (.py) を作成・実行する方法
- 関連記事:画面に文字を表示したい → print()
macOSでのPythonインストール手順
macOSではHomebrew経由か、公式インストーラ(.pkg)のどちらかが一般的です。
学習目的であれば、後からの管理が容易なHomebrewを選ぶ方が扱いやすい場面が多いです。
Homebrewでのインストール方法
Homebrewが未導入の場合は、まずインストールします。
ターミナルを開き、次を実行します。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
Apple Silicon(M1/M2/M3)では、HomebrewのPATH設定を反映します。
推奨の設定はインストール完了時に表示されますが、代表的な例を示します。
# Apple Siliconの例
echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"
Intel Macの場合は通常/usr/local
配下に入ります。
# Intel Macの例
echo 'eval "$(/usr/local/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
eval "$(/usr/local/bin/brew shellenv)"
準備ができたらPythonをインストールします。
brew update
brew install python
インストール後の確認:
python3 --version
python3 -m pip --version
Python 3.12.x
pip 24.x from ... (python 3.12)
Homebrew版ではコマンドは基本的にpython3
とpip3
を使います。
公式インストーラ(.pkg)でのインストール方法
公式サイトからmacOS向けのUniversal2インストーラを取得します。
- ブラウザで https://www.python.org/downloads/にアクセスします。
上部にある黄色いボタンから最新バージョンをダウンロードできます。

- ダウンロードした
.pkg
を開き、案内に従ってインストールします。 - インストール後、アプリケーションフォルダに「Python 3.x」が追加されます。
- 同フォルダ内の「Install Certificates.command」を一度実行しておくと、pip利用時のSSL証明書エラーを避けられます。
公式インストーラは/Library/Frameworks/Python.framework
に本体を配置し、/usr/local/bin/python3
などにシンボリックリンクが作られます。
PATH設定の確認(Apple Silicon対応)
Apple SiliconではPATHが意図どおりに通っていないと、python3
が見つからない、あるいは想定外のPythonが使われることがあります。
次のコマンドで確認します。
echo $SHELL
echo $PATH
which -a python3
python3 -V
/bin/zsh
/opt/homebrew/bin:...:...
/opt/homebrew/bin/python3
Python 3.12.x
期待する場所が先頭に来ていない場合は、シェル設定ファイルを調整します。
zshをお使いの方は~/.zprofile
に以下を追記します。
# Apple Silicon(Homebrew)
echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
# Intel Mac(Homebrew)
# echo 'eval "$(/usr/local/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
設定反映後に新しいターミナルを開き直すか、source ~/.zprofile
で反映します。
公式インストーラを使った場合は通常/usr/local/bin
が優先されていればpython3
が利用できます。
参考: よく使う場所の違い
項目 | Apple Silicon | Intel Mac |
---|---|---|
Homebrewのprefix | /opt/homebrew | /usr/local |
Python実体(Homebrew) | /opt/homebrew/opt/python@3.x | /usr/local/opt/python@3.x |
Python実体(公式) | /Library/Frameworks/Python.framework/Versions/3.x | 同左 |
シンボリックリンク | /opt/homebrew/bin/python3 | /usr/local/bin/python3 |
動作確認とpipの初期設定
- 対話モード(REPL)でHello World
python3
起動後、次を入力します。
>>> print("Hello, World!")
>>> exit() # または Ctrl+D
Hello, World!
- スクリプトファイルでHello World
任意のエディタでhello.py
を作成します。
テキストエディタ(TextEdit)を使う場合は「フォーマット」→「標準テキストにする」を選び、拡張子が.py
になるように保存します。
# hello.py
# はじめてのPythonスクリプト。画面に文字を表示します。
print("Hello, World!") # 画面に文字を出力する
ターミナルで保存したフォルダに移動して実行します。
python3 hello.py
Hello, World!
- pipの確認と更新
python3 -m pip --version
python3 -m pip install --upgrade pip
pip 24.x from ... (python 3.12)
...
Successfully installed pip-24.x
公式インストーラを利用した場合は、初回に「Install Certificates.command」を実行しておくと、後述のSSLエラーを防げます。
- 関連記事:すぐにコードを試せる「対話モード」の使い方
- 関連記事:スクリプトファイル (.py) を作成・実行する方法
- 関連記事:画面に文字を表示したい → print()
複数バージョンのPythonを導入して使い分ける場合、pyenvを使ったバージョン管理も有効です。
よくあるトラブルと対処
インストール後に遭遇しやすい問題と解決策をまとめます。
多くはPATHとコマンドの取り違えが原因です。
コマンドが見つからない(PATHの問題)
Windowsではpython
やpip
が見つからない場合、次の手順を確認します。
もっとも簡単なのは、公式インストーラを再実行して「Add python.exe to PATH」にチェックを入れ直す方法です。
手動で設定する場合は「システムの詳細設定」→「環境変数」からユーザーのPath
に次の2つを追加します(バージョン番号は環境に合わせて読み替えます)。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python3x\
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python3x\Scripts\
設定後に新しいPowerShellウィンドウを開いて再度確認します。
なお、py
ランチャーはPATHに依存せず動作することが多いため、まずpy --version
での確認をおすすめします。
macOSではpython3
やpip3
が見つからない場合、HomebrewのPATHが通っていない可能性があります。
Apple Siliconでは/opt/homebrew/bin
、Intel Macでは/usr/local/bin
がPATHの先頭付近に来るよう~/.zprofile
を設定します。
設定後に新しいターミナルを開くか、source ~/.zprofile
で反映します。
Store版が起動する時の対処(Windows)
python
と入力するとMicrosoft Storeが開く場合、Windowsの「アプリ実行エイリアス」が有効になっています。
次の手順で無効化します。
開き方がわからない場合は、スタートメニューの右クリックメニューからアクセスできます。



わかりづらいですが、アプリインストーラー python.exeとなっているものが原因です。

この2つをオフにしておきましょう。
その上で、公式サイト版をインストールし直すか、py
ランチャーを使って実行します。
SSL証明書エラーの対策(macOS)
pip install
でSSL: CERTIFICATE_VERIFY_FAILED
が出る場合、macOSのキーチェーンや証明書連携が原因のことがあります。
次の手順を順に試します。
- 公式インストーラを使用した場合は、アプリケーションフォルダ内の「Python 3.x」から「Install Certificates.command」を実行します。
- pipと証明書バンドルを更新します。
python3 -m pip install --upgrade pip certifi
- Homebrew版で改善しない場合は、
ca-certificates
の再インストールやPythonの再インストールを試します。
brew reinstall ca-certificates
brew reinstall python
これでも改善しない場合は、企業プロキシや独自証明書が関与している可能性があります。
ネットワーク管理者に相談し、必要に応じてpip
の--cert
オプションや環境変数で証明書パスを指定します。
アップデート/アンインストールの手順
Windowsではマイナーバージョンごとに併存する仕組みのため、アップデートは新しいインストーラを実行するのが簡単です。
py -0p
で複数バージョンを確認し、特定バージョンで実行するにはpy -3.12
のように指定します。
アンインストールは「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」から対象のPythonを選び削除します。
「Python Launcher」(py)は別項目なので、必要に応じて残しておくと便利です。
macOSのHomebrew版は次の通りです。
# アップデート
brew update
brew upgrade python
# アンインストール
brew uninstall python
brew cleanup
公式インストーラ版のアンインストールは専用アンインストーラがないため注意が必要です。
複数バージョンがある場合の削除は以下を参考にしつつ、対象バージョンを誤らないように十分注意してください。
# 例: 3.12のみを削除する場合
sudo rm -rf /Library/Frameworks/Python.framework/Versions/3.12
sudo rm -f /usr/local/bin/python3 /usr/local/bin/pip3 # 他バージョン利用有無に注意
sudo rm -rf "/Applications/Python 3.12"
シンボリックリンクの削除や他バージョンとの兼ね合いが難しい場合は、上級者向けの作業になります。
自信がない場合はHomebrew版の利用や、インストールし直しで整える方法を検討してください。
まとめ
本記事では、WindowsとmacOSにおけるPythonのインストール手順を、公式サイト版推奨の方針で整理しました。
Windowsでは「Add python.exe to PATH」と「Install launcher for all users」を有効にし、py
ランチャーを活用することで混乱を避けられます。
macOSではHomebrewか公式インストーラを選び、Apple SiliconではPATH設定を正しく行うことが重要です。
動作確認は対話モードのprint("Hello, World!")
と、hello.py
の実行で確実に行い、pipはpython -m pip
(macOSはpython3 -m pip
)の形でアップデートしておくと後の環境構築がスムーズです。
よくあるトラブルはPATHやStore版のエイリアス、SSL証明書に起因するものが多く、本記事の対策で解決できるはずです。
ここまで整えば、パッケージの導入や学習の次のステップに安心して進めます。