閉じる

技術顧問の個人契約相場は?報酬単価の目安と契約形態別の費用を徹底解説

企業の成長フェーズにおいて、技術的な意思決定や組織づくりを支える「技術顧問」の需要は急速に高まっています。

しかし、フルタイムのCTO(最高技術責任者)を採用するのはハードルが高いため、フリーランスや副業として活躍するハイクラスなエンジニアと「個人契約」を結ぶケースが増えています。

そこで多くの経営者や採用担当者が直面するのが、「技術顧問の適正な報酬相場がわからない」という課題です。

技術顧問の報酬は、関わり方やスキル、実績によって大きく変動するため、明確な基準が見えにくいのが現状です。

本記事では、技術顧問を個人契約で依頼する場合の報酬相場について、契約形態や業務内容ごとの目安を徹底的に解説します。

適正価格で優秀な人材を迎え入れるための判断材料としてお役立てください。

技術顧問とは?個人契約における役割と重要性

技術顧問とは、外部の立場から企業の技術的な課題解決や経営戦略への助言を行うスペシャリストのことを指します。

正社員として雇用するのではなく、業務委託契約(準委任契約)を結ぶのが一般的です。

技術顧問の役割は多岐にわたりますが、大きく分けると「経営層へのアドバイザリー」「現場エンジニアへのメンタリング・技術支援」の2つに集約されます。

近年、スタートアップから大手企業まで、個人契約で技術顧問を迎えるケースが増加しています。

エージェント(仲介業者)を通さずに直接契約することで、中間マージンをカットできるため、企業側はコストを抑えられ、顧問側は報酬手取りが増えるというWin-Winの関係が築きやすいからです。

しかし、個人契約には「相場の不透明さ」というリスクも潜んでいます。

提示額が安すぎれば優秀な人材は集まらず、高すぎれば経営を圧迫します。

まずは、契約形態ごとの基本的な相場観を理解しましょう。

【契約形態別】技術顧問の個人契約における報酬相場

技術顧問の報酬は、「どれくらいの時間を割くか(稼働頻度)」と「どのような責任を持つか(業務範囲)」によって大きく3つのパターンに分類されます。

1. 時給制・スポットコンサル型

特定の課題に対してピンポイントでアドバイスをもらう形態です。

「週1回のミーティングのみ」「技術選定の相談のみ」といった場合が該当します。

  • 相場目安(時給換算): 20,000円 〜 50,000円 / 時間
  • 特徴:
    • 非常にハイスキルな人材(有名企業の現役CTOなど)でも、短時間であれば依頼しやすい。
    • 初期の顔合わせやお試し期間として利用されることが多い。
    • 月額契約へ移行する前のステップとして有効。

この形態では、単純な作業時間ではなく「知見の価値」に対して対価が支払われます。

たった1時間の相談で数百万〜数千万円規模の損失を防ぐことも可能であるため、時給単価は一般的なエンジニアよりもかなり高額になります。

2. 月額固定(定額)型・アドバイザリー契約

最も一般的な技術顧問の契約形態です。

「月◯時間の稼働」または「月◯回の定例MTG+チャット相談」という形で契約します。

  • 相場目安: 10万円 〜 30万円 / 月
  • 稼働目安: 月5時間 〜 10時間程度
  • 業務内容:
    • 経営陣との壁打ち
    • 技術戦略のレビュー
    • チャットツール(Slackなど)での随時相談
    • エンジニア採用の最終面接官

この価格帯では、「手を動かす(コードを書く)」ことは含まれないのが一般的です。

あくまで「意思決定のサポート」や「第三者視点での助言」がメインとなります。

3. 月額固定(定額)型・ハンズオン(実働)契約

アドバイスだけでなく、現場に入り込んで実務の一部を担う形態です。

開発チームのリード、コードレビュー、具体的なアーキテクチャ設計、採用プロセスの構築などを含みます。

  • 相場目安: 40万円 〜 80万円 / 月
  • 稼働目安: 週1日〜週2日程度(月30時間 〜 60時間)
  • 業務内容:
    • プロジェクトマネジメント支援
    • 設計・実装のリード
    • 開発フローの整備
    • ジュニアエンジニアの育成・1on1

このレベルになると、「社内のエンジニアリーダー」「VPoE(Vice President of Engineering)」に近い役割を期待されます。

フルタイムのCTOを採用するまでの「つなぎ」や、特定プロジェクトの完遂を目指す場合に適しています。

報酬単価が大きく変動する4つの要因

同じ「技術顧問」という肩書きでも、月額10万円の人もいれば100万円の人もいます。

この差はどこから生まれるのでしょうか。

個人契約の際に見るべき「単価の決定要因」を解説します。

1. 知名度と実績(ブランド力)

業界内で名の知れたエンジニアや、メガベンチャーでCTOを歴任した人物の場合、その「ネームバリュー」自体が採用広報に利用できるため、単価は跳ね上がります。

「あの〇〇さんが技術顧問に就任!」というプレスリリースが出せるだけで、エンジニア採用の母集団形成に大きな効果があるからです。

このような「看板」としての役割も期待する場合、月額50万円以上がスタートラインになることも珍しくありません。

2. 専門スキルの希少性

Web開発全般が見られるジェネラリストよりも、特定のニッチな分野や最先端技術に特化したスペシャリストの方が単価が高くなる傾向があります。

  • 高単価になりやすい領域例:
    • 大規模言語モデル(LLM)・生成AIの実装
    • セキュリティ・監査対応
    • 複雑な金融システム(FinTech)
    • 大規模分散処理システム

これらの知見を持つ人材は市場に極めて少なく、需給バランスにより報酬が高騰します。

3. 責任の重さと範囲(コミットメント)

「アドバイスをして終わり」なのか、「結果にコミットするのか」で単価は変わります。

例えば、システムリプレイスの成功や、採用目標人数の達成といったKPI(重要業績評価指標)を共有し、その達成に向けて主体的に動く場合は、報酬も高めに設定する必要があります。

4. 契約期間と安定性

半年〜1年単位の長期契約を前提とする場合、単価を少し抑えて交渉できることがあります。

逆に、1ヶ月〜3ヶ月の短期集中プロジェクトや、スポット依頼の場合は、単価が高めに設定される傾向があります。

個人契約とエージェント経由の費用対効果比較

技術顧問を探す際、知人の紹介やSNS経由で「個人契約」を結ぶか、顧問紹介サービスなどの「エージェント」を利用するかで迷うかもしれません。

ここではコスト面を中心に比較します。

項目個人契約(ダイレクト)エージェント経由
トータルコスト割安(報酬のみ)割高(報酬+手数料30〜40%)
顧問の手取り高い(交渉次第)手数料が引かれるため目減りする
人材の質玉石混交(自社で見極めが必要)一定のスクリーニング済み
契約の手間多い(契約書作成、条件交渉)少ない(フォーマットあり、代行)
代替性代わりを見つけるのが大変合わない場合、別の人を提案してもらえる

個人契約の最大のメリットは「中抜きなし」

エージェントを利用すると、顧問への報酬とは別に、理論年収や月額費用の30%〜40%程度の手数料(マージン)が発生します。

例えば、顧問への報酬が月30万円の場合、エージェント経由だと企業側の支払いは月40〜50万円になる計算です。

個人契約であれば、この手数料分を顧問への報酬に上乗せしたり、自社のコスト削減に充てたりすることが可能です。

優秀なエンジニアほど、「エージェントに中抜きされるのを嫌う」傾向があるため、個人契約の方がハイスペックな人材にアプローチできる可能性もあります。

報酬額を決めるための具体的なステップ

いざ技術顧問と契約する際、どのように報酬額を決定すればよいのでしょうか。

相場から大きく外れないための手順を紹介します。

Step 1. 自社の課題と予算の明確化

まず、「なぜ技術顧問が必要なのか」を言語化します。

「採用を手伝ってほしい」のか「技術選定をしてほしい」のかで、必要な人材レベルと稼働時間が変わります。

予算の上限もあらかじめ決めておきましょう。

Step 2. 時給換算でのシミュレーション

候補者のレベルに合わせて、仮の時給を設定して月額を算出してみます。

  • CTOクラス(時給2.5万円) × 週2時間(月8時間) = 月額20万円
  • リードエンジニアクラス(時給1.5万円) × 週5時間(月20時間) = 月額30万円

このように分解することで、「月額30万円は高いか安いか?」を論理的に判断できるようになります。

Step 3. 実績ベースまたは現年収からの逆算

相手がフリーランスではなく、他社で正社員CTOをしている場合の副業依頼であれば、本業の年収を参考にすることもあります。

ただし、技術顧問は「切り売り」の仕事であるため、本業の時給よりも1.5倍〜2倍程度高く設定するのがマナーであり相場です。

Step 4. トライアル期間の導入

最初から半年契約を結ぶのではなく、「最初の1ヶ月はスポット契約(時給または安価な固定額)」でお試し期間を設けることを強くおすすめします。

相性や実際の貢献度を確認してから、本契約の報酬額を再調整するのが最もリスクの少ない方法です。

個人契約で失敗しないための注意点

報酬面で合意しても、契約内容が曖昧だと後々トラブルになります。

特に「金額に含まれる業務範囲」の認識合わせは重要です。

「準委任契約」であることを理解する

技術顧問契約のほとんどは「準委任契約(善管注意義務)」です。

「システムが完成しなかったから報酬を払わない」という請負契約的な対応はできません。

あくまで「業務の遂行」に対して対価を支払うものです。

スコープクリープ(業務範囲の肥大化)を防ぐ

「月20万円で相談役」の契約だったのに、いつの間にか「コード修正」や「緊急トラブル対応」まで頼んでしまい、顧問から報酬アップを要求される(あるいは辞任される)ケースが多発しています。

  • 定例会議以外のチャット返信はどの程度までOKか
  • 緊急時の対応は別料金か
  • 作業(ドキュメント作成やコーディング)は含むのか

これらを契約書または覚書(SOW:Statement of Work)に明記しましょう。

経費の取り扱い

遠方から来社する場合の交通費や、技術検証のために必要なクラウドサーバー代、書籍代などをどちらが負担するか事前に決めておきましょう。

通常、個人契約の報酬にはこれらの実費は含まれません。

まとめ

技術顧問の個人契約における報酬相場は、企業のフェーズや求める役割によって大きく異なります。

しかし、大まかな目安としては以下の通りです。

  • ライトな相談役(月数時間): 月額 5〜20万円
  • 実務支援を含む顧問(週1日程度): 月額 20〜50万円
  • CTO代行クラス(高コミット): 月額 50〜100万円以上

個人契約は、エージェント手数料がかからない分、コストパフォーマンスに優れていますが、適切な人材を見極め、明確な契約を結ぶためには企業側のリテラシーも求められます。

「高い報酬を払えば良い結果が出る」わけではありません。

自社の課題を明確にし、「どの部分を補ってほしいのか」を具体的に提示することが、適正な価格で最高のパートナーを見つけるための第一歩です。

まずはスポットでの相談から始めて、自社にフィットする技術顧問を探してみてはいかがでしょうか。

クラウドSSLサイトシールは安心の証です。

URLをコピーしました!