プログラミングを始めると、ほとんどの人が「エラーの壁」にぶつかります。
実は、この壁を乗り越えられるかどうかはエラーの検索の仕方に大きく左右されます。
同じエラーでも、うまく検索できる人は数分で解決し、そうでない人は何時間も悩み続けてしまいます。
本記事では、初心者の方がエラーを検索して自力で解決するための具体的なコツを、なるべく実践的に解説していきます。
なぜ「エラーの検索力」が大事なのか
プログラミングでは、どれだけ経験を積んでもエラーは必ず発生します。
大切なのは、エラーをゼロにすることではなく、エラーが出たときにどう調べて、どう解決するかというスキルです。
エラーの検索力が身につくと、次のようなメリットがあります。
- わからないときに、すぐ人に聞かなくても自走できる
- 学習スピードが大きく上がる
- 仕事で新しい技術に触れたときも、怖くなくなる
特に初心者のうちは、エラーをそのまま検索窓にコピペしているだけになりがちです。
しかし、エラーは「ただの呪文」ではなく、意味のあるメッセージです。
意味を少しずつ読み解きながら検索できるようになると、解決までの道のりが一気に短くなります。
エラーメッセージの基本構造を理解する
まずは、エラーを検索する前に、エラーメッセージのどこを見ればよいかを押さえておきましょう。

エラーメッセージには、だいたい次のような情報が含まれます。
- どのファイルの、何行目で起きたか
- どの処理(関数やメソッド)で起きたか
- エラーの種類(例:
SyntaxError、TypeErrorなど) - エラーの説明文(例:
division by zeroなど)
初心者のうちは、「エラーの種類」と「簡単な説明文」の2つをまず押さえるとよいです。
これが、検索のキーワード選びの「核」になります。
良い検索キーワードを組み立てるコツ
エラーが出たとき、ただ全文をコピペして検索すると、うまくいかないことがよくあります。
特に、ファイル名・フォルダ名・行番号・日時などは、あなたの環境にだけ当てはまる情報なので、そのまま検索してもノイズが増えがちです。
ここでは、「コピーして、そのまま貼らない」ための整理の仕方を紹介します。

基本パターン: 言語 + エラー種別 + 短いメッセージ
もっとも基本的な検索キーワードは、次の組み合わせです。
- プログラミング言語またはフレームワーク名
- エラーの種類(クラス名)
- エラーの短い説明
例を見てみましょう。
例1: Python のゼロ除算エラー
エラー表示:
ZeroDivisionError: division by zero
この場合、検索キーワードの例は次のようになります。
python ZeroDivisionError division by zero- 日本語で調べたい場合は
python ゼロ除算 エラーのように意訳してもOKです。
ポイントは、最低限「python」と「ZeroDivisionError」を含めることです。
例2: JavaScript の未定義変数エラー
エラー表示:
Uncaught ReferenceError: xxx is not defined
検索キーワードの例:
javascript ReferenceError is not defined- より状況を絞るなら
js ReferenceError is not defined let constのように追記
環境やツールをキーワードに加える
同じエラーでも、実行環境や使っているライブラリによって解決方法が変わることがあります。
そのため、以下の情報を必要に応じて足すと、より的確な検索結果が得られます。
- 使用言語のバージョン(例:
python 3.10) - フレームワーク名(例:
Django、React、Laravel) - 実行環境(例:
Windows、Mac、VSCode)
例:
python TypeError: 'NoneType' object is not subscriptable Djangoreact TypeError cannot read properties of undefined useState
「何のエラーか」だけでなく、「どこで起きているエラーか」も検索キーワードに含めるイメージです。
「コピペ検索」から一歩進んだ読み取り方
エラーメッセージをよく見ると、「あなたのコード特有の部分」と「汎用的なエラー情報」が混ざっています。
この2つを分けて考えることが、効率のよい検索につながります。

例えば次のエラーを見てみます。
NameError: name 'my_var' is not defined
この中で、
my_varはあなたの変数名です。NameErrorとis not definedは、多くの人に共通するエラー情報です。
検索するときは、次のように「固有の名前」を削って検索します。
- 悪い例:
python NameError: name 'my_var' is not defined(ヒットはするが、ノイズ多めになりやすい) - 良い例:
python NameError is not defined
このようにエラーメッセージから、検索に不要な部分を削るだけでも、欲しい情報にたどり着きやすくなります。
日本語で検索するか、英語で検索するか
初心者の方からよくある悩みが、「日本語と英語どちらで検索すべきか」という点です。
結論から言うと、最初は日本語で検索してもよいが、少しずつ英語の検索結果も読む練習をすると大きな武器になる、というスタンスがおすすめです。
日本語検索の特徴
- メリット
- 説明が理解しやすい
- 記事形式で丁寧に解説していることが多い
- デメリット
- 情報量が少ない場合がある
- 新しいライブラリや英語圏中心のツールだと、日本語記事がほとんどないこともある
英語検索の特徴
- メリット
- Stack Overflow や GitHub Issues など、一次情報にたどり着きやすい
- エラーそのものが英語なので、そのまま検索できる
- デメリット
- 最初は読むのに時間がかかる
- 長文や専門用語が多いと挫折しやすい
実践的には、次のようなステップがよく機能します。
- まず日本語 + エラー種別で検索してみる
例:python TypeError NoneType subscriptable 日本語 - 解決しなければ、英語で検索し直す
例:python TypeError 'NoneType' object is not subscriptable - 英語ページが難しければ、ブラウザの翻訳機能を使って読む
英語が苦手でも、コード部分は世界共通です。
文章のすべてを読もうとせず、コードと結論部の要点だけ拾うように意識すると楽になります。
検索結果の「どの情報を信じるか」を見極める
検索すると、ブログ記事、Qiita、Stack Overflow、公式ドキュメントなど、さまざまな情報源が出てきます。
その中から、どれを優先して読むべきかを簡単に整理しておきます。

優先度の目安
- 公式ドキュメント・公式サイト
- 例: Python公式ドキュメント、React公式サイトなど
- 情報は正確だが、初心者にはやや難しい場合がある
- Stack Overflow や GitHub Issues
- 実際に同じエラーに遭遇した人と、その回答がセットで読める
- 回答の「投票数」や「ベストアンサー」を目安に信頼性を判断しやすい
- 技術ブログやQiita記事
- 日本語で読みやすく、解説が丁寧なことが多い
- ただし、情報が古かったり、環境が違ったりすることもある
初心者のうちは、ブログやQiitaでざっくり理解 → 必要に応じて公式ドキュメントで確認という流れがよいでしょう。
コードと一緒に検索するテクニック
エラーによっては、エラー文言だけでは状況がうまく絞り込めないこともあります。
その場合は、コードの一部を検索キーワードに含めるのが有効です。
特徴的な関数名・メソッド名で検索する
例えば、次のようなエラーがあったとします。
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading 'map')
この場合、「map」はよくあるメソッド名なので、文言だけでは広すぎます。
そこで、React でよく起きるパターンだと仮定して、次のように検索します。
react TypeError Cannot read properties of undefined (reading 'map')- さらに
useState map undefinedのように、使っているフック名などを足す
エラーが出ているコード行を単純化して検索
長い1行のコードがエラー原因の場合、ログの該当行を、意味が変わらない範囲で短くして検索すると有効なことがあります。
例:
result = my_list[0].get("value").strip()
ここで AttributeError: 'NoneType' object has no attribute 'strip' が出ている場合、次のようなキーワードが考えられます。
python AttributeError 'NoneType' object has no attribute 'strip'- さらに
python NoneType strip list getなど、周辺のメソッド名を足す
「すぐに質問しない」ためのセルフチェック
エラーが出たとき、すぐにメンターや同僚に質問したくなるかもしれませんが、まずは自分で「ここまで試した」と言える状態まで調べてみることが大切です。
これは単にマナーの問題だけでなく、自力で調べる力を鍛えるトレーニングになります。
質問する前に、少なくとも次のポイントは確認しておきましょう。
- エラーメッセージを最初から最後まで一度は読む
- エラーの種類(例:
TypeError、SyntaxError)を把握する - 言語名 + エラー種別 + 短いメッセージで検索してみる
- 検索結果の上位3〜5件はざっと目を通す
- 試したことと結果をメモしておく

ここまでやった上で質問できれば、回答する側も状況を理解しやすく、より的確なアドバイスが返ってきます。
実践ミニケーススタディ
最後に、検索の流れをイメージしやすくするため、簡単なケーススタディを紹介します。
ケース: Python でリストの長さを間違えたとき
あなたは Python で次のようなコードを書きました。
numbers = [1, 2, 3]
print(numbers[3])
実行すると、次のようなエラーが出ました。
IndexError: list index out of range
このときの思考と検索の流れは、次のようになります。
- まずエラー文を読む
IndexError→ インデックス関連のエラーlist index out of range→ 範囲外のインデックスを指定していると予想できる
- 検索キーワードを組み立てる
python IndexError list index out of rangeを検索する
- 検索結果を読む
- 上位に「リストの長さより大きいインデックスを指定すると出るエラー」という説明が出てくる
- 自分のコードでは
numbersの長さは3なのに、numbers[3]を指定していることに気づく
- 解決
numbers[2]に修正して再実行し、エラーが消える
この一連の流れで重要なのは、「エラー文を読む → 意味をなんとなく予測する → そのまま検索」のサイクルを回すことです。
これを繰り返すうちに、エラー文を見ただけで、だいたい原因の見当がつくようになっていきます。
まとめ
プログラミングの学習や実務において、「エラーをどう検索して解決するか」は、言語そのものの知識と同じくらい重要なスキルです。
本記事で紹介したポイントを振り返ると、次のようになります。
- エラーメッセージの中から、エラー種別と短い説明を抜き出す
- 言語やフレームワーク名 + エラー種別 + 短いメッセージで検索する
- ファイル名・行番号・自分の変数名など、あなた固有の情報はキーワードから外す
- 必要に応じて、バージョンや環境、ライブラリ名を付け足して絞り込む
- 日本語検索と英語検索を併用し、英語結果は翻訳機能も活用しながら要点だけ読む
- 検索結果の中では、公式ドキュメントや信頼できるQAサイトを優先する
- 質問する前に、「何を調べて何を試したか」を整理しておく
最初のうちは、検索してもなかなか答えにたどり着けないかもしれません。
しかし、エラーを調べて解決した回数そのものが、プログラミングの実力に直結します。
あせらず一つひとつのエラーと向き合いながら、検索のコツを少しずつ身体に覚えさせていきましょう。
