「プログラミングは論理的思考が必要ってよく聞くけれど、自分は論理的思考が苦手だから向いていないかもしれない」そのように感じて、学習の一歩目で止まってしまっていないでしょうか。
この記事では、論理的思考に自信がない人でもプログラミングを理解しやすくするための考え方や学び方のコツを、イメージしやすい例や図解とともに解説していきます。
「論理的思考が苦手だとプログラミングは無理」は本当か
結論から言うと、「論理的思考が苦手だからプログラミングは無理」という考え方は誤解です。
プログラミングには確かに論理的な考え方が関わりますが、それは「先天的な才能」ではなく、小さなステップを踏みながら身につけていけるスキルだからです。
多くの人が勘違いしているポイントは、次のようなものです。
- 「論理的思考=頭の回転が速いこと」だと思っている
- 一度で完璧に理解できないと「自分は向いていない」と決めつけてしまう
- コードの細かな書き方(文法)と、考え方(ロジック)をごちゃ混ぜにしている
プログラミング学習でつまずく多くのケースは、「論理的思考の不足」よりも「学び方の順番や整理の仕方」が原因です。
まずは、プログラミングにおける論理的思考がどのようなものかを、イメージからつかんでいきましょう。
プログラミングに必要な「論理的思考」とは何か
「料理のレシピ」をイメージするとわかりやすい
プログラミングは、料理のレシピづくりにとても似ています。

料理のレシピは、材料と手順が明確に書かれています。
例えば、オムレツを作るなら、次のようなステップに分けることができます。
- 卵をボウルに割り入れる
- 塩こしょうを入れて混ぜる
- フライパンに油をひく
- 卵液を流し入れる
- 固まってきたら形を整える
この「手順を順番に並べていく」という行為こそが、プログラミングにおける論理的思考の基本です。
特別に難しい数学や抽象的な理論を使うのではなく、人間が日常的に行っている段取りや整理を、もう少し丁寧に分解するだけだと考えると、ハードルがぐっと下がります。
ロジックとは「正しい順番」と「条件分け」
プログラムで行っているのは、シンプルに言えば次の3つです。
- 何を(どのデータを)扱うか決める
- どの順番で処理するか決める
- 場合によって処理を分ける

論理的思考というと難しく聞こえますが、要は「順番」と「条件」を意識して整理する力です。
例えば、「雨が降っているなら傘を持っていく。降っていないなら帽子だけにする」という日常の判断も、プログラミングの世界では次のような形になります。
- 条件: 雨が降っているかどうか
- 条件が真なら: 傘を持っていく
- 条件が偽なら: 帽子だけにする
あなたが普段から行っている判断や段取りも、形を整えれば立派なロジックです。
「論理的思考が苦手」に見える3つの誤解
論理的思考そのものが足りないのではなく、「苦手に見えてしまう状況」がいくつかあります。
代表的なものを整理しておきます。
1. 頭の中だけで全部考えようとしている
頭の中だけで問題や処理の流れを組み立てようとすると、ほぼ確実に混乱します。
論理的な整理が得意だと言われる人の多くは、実は「紙やホワイトボードにどんどん書き出している」だけです。

論理的思考は「頭の良さの問題」ではなく、「書き出す習慣があるかどうか」の影響がとても大きいのです。
2. 文法とロジックを一度に覚えようとしている
プログラミング初心者がよく陥るのが、「文法(コードの書き方)」と「ロジック(考え方)」をごちゃ混ぜにしてしまうことです。
例えば、次のような状態です。
- if文の書き方を覚えようとしているのに、そもそも「条件分岐で何をしたいか」が曖昧
- 配列の文法を覚えている最中に、「なぜ配列を使うと便利なのか」がよくわからなくなる
この場合、「論理的思考が足りない」のではなく、学ぶ順番が入れ替わっているだけです。
後で詳しく紹介しますが、最初は「日本語で処理の流れを書き出す」→「それをコードに翻訳する」という順番を意識すると、理解しやすくなります。
3. 完璧主義がブレーキになっている
論理的思考に自信がない人ほど、「最初から正しく書かなければ」「間違ってはいけない」と考えてしまいがちです。
しかし、実際の開発現場でも、コードは何度も書き直す前提で書かれています。
- まずは、ざっくり動くものを書く
- 動かしてみて、うまくいかないところを特定する
- 少しずつ直しながら、きれいな形に整えていく
この流れは、プロのエンジニアでも同じです。
論理的思考は「一度で正解を出す力」ではなく、「少しずつ仮説を立てて修正する力」だと捉えると、心の負担が軽くなります。
論理的思考が苦手でも理解しやすい学び方のコツ
ここからは、論理的思考が苦手だと感じる人でも実践しやすい、具体的な学び方のコツを紹介します。
コツ1: 日本語で「やりたいことの手順」を書き出す
最初のステップは、コードを書く前に日本語で手順を書くことです。

例えば、「1から10までの合計を求める」という課題があるとします。
いきなりコードを書こうとすると難しく感じますが、日本語で分解すると次のようになります。
- 合計を入れる箱を0で用意する
- 1から10まで、1つずつ数字を取り出していく
- 取り出した数字を、合計の箱に足していく
- 最後に、合計の箱の中身を表示する
このように「小学生にも説明できるレベルまで、やりたいことを日本語で分解する」ことが、論理的思考のトレーニングになります。
コードは、この日本語の手順を少しずつ置き換えていくだけです。
コツ2: 図解やフローチャートを積極的に使う
文章だけで考えると混乱しがちな人には、図解・フローチャートを使う方法がおすすめです。

フローチャートを書くときのポイントは次の通りです。
- 長い文章ではなく、1ステップを短い動作で書く
- 条件の分岐は、必ず「はい」「いいえ」の2方向を意識する
- 上から下、左から右という、読みやすい流れを守る
頭の中のモヤモヤを、外に「見える形」にしていく作業だと捉えてみてください。
慣れてくると、図を描かなくても頭の中にフローチャートが思い浮かぶようになり、論理的思考の感覚がつかめてきます。
コツ3: 「入力」「処理」「出力」に分けて考える
プログラムは、ほとんどの場合、次の3つの要素で説明できます。
- 入力(何を受け取るか)
- 処理(何をするか)
- 出力(何を返す・表示するか)

例えば「2つの数字を足して結果を表示するプログラム」を考えるときも、この3つに分けて整理できます。
- 入力: ユーザーが2つの数字を入力する
- 処理: 2つの数字を足し算する
- 出力: 計算結果を画面に表示する
どんなプログラムでも、まず「これは何を入力にして、何を出力するのか?」と考える癖をつけると、ロジックが組み立てやすくなります。
コツ4: 「小さく試す」を繰り返す
論理的思考に自信がないと、「大きなプログラムを一気に完成させなければ」と思ってしまいがちですが、実際には「小さく試す」ほうが圧倒的に効率的です。
例えば、次のように段階を分けます。
- 入力した数字をそのまま表示してみる
- 2つの数字を足してみる
- 結果をわかりやすいメッセージ付きで表示する
このように小さなゴールを積み重ねることで、「どこまでうまくいっていて、どこからおかしいのか」が明確になります。
論理的思考とは、「小さく仮説を立てて検証し、修正していくプロセス」そのものです。
コツ5: 他人のコードを「言葉で説明してみる」
論理的思考のトレーニングとして、とても効果的なのが「他人の書いた短いコードを、自分の言葉で説明してみること」です。

例えば、次のようなコードを見たとき(疑似コードのイメージです)。
sum = 0
for n = 1 to 10
sum = sum + n
print sum
これを日本語にしてみると、次のように説明できます。
- 合計を入れる変数
sumを0で用意する - 1から10まで、数字を1つずつ取り出す
- 取り出した数字を
sumに足していく - 最後に
sumの中身を表示する
このように「コード → 日本語」への変換を練習することで、ロジックのパターンが自然と身についていきます。
最初は解説付きのサンプルコードを使って、少しずつ自分の言葉で言い換える練習をしてみましょう。
論理的思考を鍛えるための日常トレーニング
プログラミングの学習時間以外でも、日常生活の中で論理的思考を鍛えることができます。
ここでは、無理なく続けやすい方法を紹介します。
日常のタスクを「手順書」にしてみる
例えば、次のような身近な行動を、あえて手順書にしてみます。
- 朝の身支度
- お茶を入れる
- 最寄り駅まで行く

「誰かにその手順を渡して、同じ結果が再現できるか」を意識して書くのがポイントです。
これはまさに、コンピュータに指示を出すときの感覚と同じで、論理的思考の筋トレになります。
「なぜそうなるのか」を一歩だけ深掘りする
論理的思考は、「なぜ?」を1回だけでも考えてみる癖から育っていきます。
例えば、プログラミングの学習でエラーが出たときに、次のように考えてみます。
- なぜこのエラーが出ているのか
- どの行で、どんな条件のときに起きているのか
- もし自分がコンピュータ側だったら、どこで困っていそうか
このとき、完璧な答えを出す必要はありません。
自分なりの仮説を立ててみる、その姿勢自体が論理的思考のトレーニングになります。
論理的思考に頼りすぎない学び方もある
最後に、「そもそも論理的思考だけがプログラミングの全てではない」という視点も持っておきましょう。
手を動かして「真似て覚える」も立派な戦略
論理的に理解しようとしすぎて、手が止まってしまう人も少なくありません。
その場合には、まずはサンプルコードを写経するように「真似て覚える」やり方も有効です。
- 最初は意味が全部わからなくても、とにかく動かしてみる
- 少し慣れてきたところで、「この部分は何をしているのだろう」と部分的に理解を深める
- 同じパターンのコードをいくつか書いて、体に覚え込ませる
体育会系のトレーニングのように、とにかく反復して手を動かすことで、頭の中のもやもやが次第に整理されていくことも多いです。
「つくりたいもの」から逆算する
モチベーションの観点では、論理的思考よりも「つくりたいものがあるかどうか」が重要なこともあります。
- 家計簿を自動で集計したい
- 自分専用のToDoアプリを作りたい
- 単純作業を自動化して、仕事の時間を減らしたい
このような具体的なゴールがあると、「実現するには何が必要か」という逆算の思考が自然と働きます。
これは高度な論理的思考というより、「目的から考える力」に近く、多くの人がすでに日常生活で使っているものです。
まとめ
論理的思考が苦手だと感じていても、プログラミングをあきらめる必要はまったくありません。
この記事で紹介したように、プログラミングに必要な論理的思考は、次のような要素に分解できます。
- 料理のレシピのように、手順を順番に並べる力
- 条件によって処理を分ける、シンプルな判断の積み重ね
- 頭の中だけで頑張らず、紙や図に書き出して整理する習慣
- 日本語で「やりたいことの手順」を書き出し、それをコードに翻訳する流れ
- 小さく試して、仮説と修正を繰り返すプロセス
これらは生まれつきの才能ではなく、日々のトレーニングや学び方の工夫で育てていけるスキルです。
最初はうまくできなくて当然ですが、少しずつ日本語での手順書づくりやフローチャート作成、他人のコードの言語化などを繰り返していくことで、論理的思考の感覚は確実に身についていきます。
「論理的思考が苦手だから無理」ではなく、「論理的思考はこれから鍛えればいい」と発想を切り替えることが、プログラミング学習を続けるための第一歩です。
自分のペースで、できるところから少しずつ積み重ねていけば、プログラミングの世界は必ず開けていきます。
